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2012/09/19

山本弘/去年はいい年になるだろう

去年はいい年になるだろう
 

2001年9月11日、NYの世界貿易センタービルに2機の旅客機が突っ込むという衝撃的な映像が流れた直後「この事件は起こりませんでした。私達が阻止したからです」とのメッセージが流れた。   
彼らはガーディアン。    
24世紀から来たアンドロイドだった。

 

長編SF。面白かった!   
SFって設定が理解出来ないことが多くて苦手なんだけど、これは設定がわかりやすい(と言うか丁寧に解説されてる)のですんなり物語に入って行けて楽しめた。

 

「人間を幸せにする」という本能を持つガーディアンが1年づつ時間を遡って人類を戦争や災害、犯罪、貧困、事故などによる犠牲から守るために歴史を書き換えて行くという設定。   
「親切にしてくれるけど実は…」という裏はなく、ガーディアンたちには全くの善意しかないのに、その行動がどんどん人類の幸福から乖離して疑心暗鬼を産み、やがてはそれが原因の争いに発展して行くというストーリーに考えさせられた。

 

物語を大局的なものではなく主人公を著者本人として身近な話題を丁寧に書き込んであるのも巧い。   
著者の仕事ぶりや生活がガーディアンが現れたことでどう変化したかが詳細に描かれ、周囲の関係者が実名で出てくるので物語に臨場感があった。    
(笑える部分も多数ありw)

 

この物語の中では未來の自分からのメッセージをガーディアンが本人に届けるという設定になっている。   
主人公も未来の自分が書いた著作を受け取るんだけど、それを自分のものとして発表しようか悩むシーンを読むたびに(何度も出てくる!)、書評対談で北上さんと大森さんが揃って「なんで悩むのかわからん!」と言っていたのを思い出してニヤニヤしてたw

 

そんな部分がありつつも物語が進むにつれてだんだんと暗い展開になっていくので最後はどうなることかと思ったけど、ラストは明るい雰囲気でホッとした。

 

ところで、タイムマシンで歴史を1年づつ遡ってそこから10年間修復活動をするという設定なんだけど、修復活動が始まるとその世界はもう本来の歴史ではなくパラレルワールドになってしまうよね。   
そこはいいんだけど、同じ年に複数の世界があるってことはガーディアンたちもその世界の数だけ存在しないとおかしくない?    
そしたら飛んだ先でほかのガーディアンとぶつかったりはしないの?    
あと、パラレルワールド上の歴史と元の歴史の区別ってつくものなの?    
SFには謎がいっぱいだ…。

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