宮内悠介/盤上の夜
囲碁、チェッカー、麻雀、将棋などの対戦型ボードゲームを題材にした短編集。
扱われているゲームのルールも知らないし、更にジャンルがSFと聞いていたので読みにくいかなと心配していたけど思った以上にスルスル読めた。
テーマはゲームだったけれど、ゲームそのものよりもそれに関わった人々の物語が多かったこと、SFと言っても舞台が現代と近く設定も観念的なものがあまりなかったのがよかったのかな。
SFというより幻想小説、ファンタジーに近い感じがした。
収録されている6編の中では表題作と『人間の王』がよかった。
特に『人間の王』の淡々とした雰囲気がいい。
麻雀を扱った『清められた卓』は例外的にゲームそのものがメインになっていたので一番白熱した展開にも関わらず容がよくわからなかった。
結末も今ひとつ。
6編のうち5編に同一と思われるライターが登場する。
最初の4編ではずっと聞き役だったのに、最後の『原爆の局』だけは物語内部の人物として登場していたのが気になった。
私としては他の作品同様、あくまでも外側の立場でいて欲しかった。
登場人物がみんな色んな意味で個性的。
特に表題作のヒロイン 由宇の境遇は特殊すぎてどう理解していいのか困るくらい。
でも、物語のメインはそこではなく、それによって「囲碁」という方法を手に入れた由宇のその後の生き方にあるところが凄いなと思う。
<収録作品>
盤上の夜 / 人間の王 / 清められた卓 / 象を飛ばした王子 / 千年の虚空 / 原爆の局
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