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2012年11月の16件の記事

2012/11/30

小杉健治/質屋藤十郎隠御用

質屋藤十郎隠御用 (集英社文庫)

身分を隠し浅草で質屋・万屋を営む藤十郎を主人公にした時代小説。

万屋に持ち込まれた訳ありの女物の煙草入れをめぐる騒動と、貧乏長屋に住む職人たちがお互いを犠牲にして助けあう姿が描かれている。

話自体は面白かった。
特に長屋の人々が貧しいながらも誇りを持ち、受けた恩を返すために命を張って生きていく姿、お互いを気遣い相手の幸せのために自分の望みは我慢しようとする様子が生き生きと描かれ読み応えがあった。

ただ、もう一方で進行していくある大名家のお家騒動に端を発する事件のほうは今ひとつピンとこなかった。
最近、この手の時代小説で侍と町人が一緒に出てくる話はたいてい町人パートのほうに軍配が挙がる感じ。
町人メインだと丁寧で気持ちがするっと入っていく気持ちよさがあるけど、侍メインの話はすぐ斬り合いになっちゃって血なまぐさいばっかりで気持ちが見えないことが多いんだよねえ。

更に、主人公の藤十郎の人となりについての描写が少なく、どんな人物なのか読者にさえもよく判らないまま話が進んでいくので、共感したり思い入れを持ったり出来なかったのが残念。
肝も据わってるし、腕も立つらしいので全然危なげないのはいいんだけど、隙がなさすぎだし何考えてるのか判らないから応援し甲斐がない。
最後に藤十郎が活躍して解決しても盛り上がれなかった。
もっと人間っぽい表現が欲しかったなあ。

設定としては面白いと思うのにそれが生かされていないように感じた。

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2012/11/29

NHK_PR1号/中の人などいない@nhk広報のツイートはなぜユルい?

中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?

今や50万人超のフォロワーを持つ人気アカウントが生まれたきっかけとその後の活動について書かれた本。

1号さん本人が書いたとのこと。
やっぱり頭の回転が速くて、言葉への感覚が鋭い人なのね、という印象。

文章も上手くて読みやすい。
ただ、サービス精神が旺盛過ぎるのか「ここ、別にいらないよね?」という部分も結構あったかも。

本文よりも「はじめに」のエピソードが一番面白かった。
あれをトップに持ってくるセンスが素晴らしい。

それにしても、PR1号さんの肝の据わりっぷりはやはり凄いな。
それも、もともとそういう人だからということではなくて、「そうするべきだ」と思ってそうしている、つまり意志の力でやっているところが。
いくら自分で決めたことだからといってもあそこまで徹底することはなかなか出来ないと思う。

これからもいろいろあると思うけど、変わらぬ楽しいツイートを期待したい。

でも、私なんかはPR1号さんを特に変だとも嫌だとも思わないけど、同時にNHK本体とアカウントとしての「NHK_PR」はやっぱり別物だよねと思ってしまう。
一方PR1号さんのツイートに対して苦情を言ってくる人というのは、NHK=NHK_PRって思ってるってことだよね。
だとしたら、PR1号さんにとっては私みたいなフォロワーよりも、苦情を言ってくるフォロワーこそ正しい「中の人」なのかもしれない。
なんてね。

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2012/11/28

志川節子/春はそこまで 風待ち小路の人々

春はそこまで 風待ち小路の人々

芝神明のほど近く小さな商い店が軒を連ねる「風待ち小路」を舞台に、そこで日々を営む人々を姿を描いた連作時代小説。

絵草紙屋の父と息子、薬屋の若夫婦、洗濯屋の家族…と様々な店の家族の様子が丁寧に映し出されて興味深い。
特に絵草紙屋・粂屋の話は父と息子、それぞれの立場からの視点を織り込むことで物語に奥行きが生まれていたと思う。

母と喧嘩をして家を出てしまった父を想いながらも、一人で懸命に自分を育てようとしている母も捨てられず思い悩む少年・祐太を主人公にした「胸を張れ」もよかった。

ただ、風待ち小路の商家で起こる小さな事件を中心に回っていた前半から一点、後半急に仇討ち話が出てくるんだけど、それがそれまでの話の流れと今ひとつ上手く咬み合っていなかったのが残念。

でも、最後は大団円で読後感はよかった。

<収録作品>
冬の芍薬 / 春はそこまで / 胸を張れ / しぐれ比丘尼橋 / あじさいの咲く頃に / 風が吹いたら

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2012/11/26

中島要/江戸の茶碗 まっくら長屋騒動記

江戸の茶碗  まっくら長屋騒動記

芝神明にあるおんぼろ長屋を舞台にした人情話。
働きもせず年中長屋で酒を飲んでゴロゴロしてばかりの浪人・勘兵衛が長屋の住人が持ち込んでくる厄介事を解決する。

江戸の貧乏長屋の様子を上手く描いた賑やかで楽しい作品だった。
セリフに勢いとテンポがあるのが印象的。

借金のかたに取られてしまった店を亡き両親の代わりに取り戻そうと貧乏暮しを続けコツコツ貯めた小銭をだまし取られた兄妹を描いた表題作の「江戸の茶碗」がよかった。
ただ、あのお兄ちゃんじゃ店を取り戻してもちょっと不安…(^.^;

あと、ある事件をきっかけに目を患い、今は売れない按摩師として貧乏生活を送る梅次郎と隣に住む訳ありの屑屋の交流を描いた「真眼」のラストも心に染みた。

最後に勘兵衛の過去が語られるシーンは今ひとつ。
今までは噂話しか聞こえてこなくてずっと隠されていたものが、一気に語られすぎて余韻がなかった。
もうちょっとぼかすか、あるいは他の物語の中で少しずつ何かが分かってきて最後にそれが組み合わされて本当のことが判る…といったような工夫が欲しかったな。

<収録作品>
江戸の茶碗 / 寝小便小僧 / 遺言 / 真眼 / 嫁入り問答 / いじっぱり / 男と女の間

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2012/11/25

矢崎存美/刑事ぶたぶた

刑事ぶたぶた (徳間文庫)

いつものように短篇集かなと思ったら長編だった。
しかも、けっこう切ない系。

確かにぶたぶたは刑事として最強かもしれない(殴られても踏まれても怪我しないし、細い隙間から入っていけるし。但し、尾行は苦手w)けど、ホントに犯罪が絡むとちょっとイメージ違うかな。

小学生の桃子と祐輔のコンビがよかった。
2人とも違った意味で子どもらしくて可愛かった。
(ただ、ときどき桃子の喋り方が小学生女子というよりおばちゃんっぽかったけど(^.^;)

全体的に何となく文章がぎこちない感じがするなと思ったら、01年に出た作品の再刊(正確には再々刊とか)だったからなのね。
それでもぶたぶたのキャラがきちんと徹底しているのは流石。

なんていうか…ぶたぶたの存在や行動を「当然」として描く部分と、「いや、そんなはずないだろう」として描く部分のバランスというか切り替えが巧いなあといつも思う。
そしてある意味「ずるい」と思うw
でも、こういうキャラや設定を考えついた矢崎さんはやっぱり凄いよね。

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2012/11/22

中島要/しのぶ梅

しのぶ梅 着物始末暦 (時代小説文庫)

着物の染み抜き、洗いや染めなど普通はそれぞれ専門の職人がやる仕事を一人でこなし、しかも見事な腕前を持つ「着物の始末屋」余一を描いた短篇集。

着物の始末と一緒に持ち込まれる人間関係のもつれを、無愛想でまともに人と関わろうとしない余一がするりとほどいていく様子がよかった。
短編4編の登場人物がそれぞれ少しずつリンクしている構成。綾太郎とお玉が結婚したあとの話とか、お糸の恋の行方とか今後が気になる話も多かったので続きが読みたいな。

余一がどんな方法で着物を蘇らせるのかという技術的なことは書かれていなかったのがちょっと残念。

「きものは着るからきものなんだ。着なきゃただの布きれじゃねえか。金に飽かせて何枚もきものを誂えた挙句、ろくすっぽ袖も通さねぇもんの染みを落として何になる。そんなもんより、洗い張りや染め直しをして着続けられたきもののほうが、はるかに値打ちがあるってもんだ」(p53より)

「ただしまっておいたって、女もきものも値打ちが下がる一方だ。せっかくこの世に生まれたからには、陽の目を見せてやらねぇと。ちょっとくらい傷がついても、どうってこたぁありやせん。いくらでも姿を変え、形を変え、生き直せるもんなんでさ」(p68より)

<収録作品>
めぐり咲き / 散り松葉 / しのぶ梅 / 誰が袖

4作の中では表題作の「しのぶ梅」が全体の構成、話の展開、結末すべてバランスよくまとまっていてとてもよかった。

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2012/11/18

吉本ばなな/SLY

SLY

かつての恋人がHIV陽性と診断されたことをきっかけにエジプトに旅行に行く事になった男2人女1人の物語。

本棚にあった本なので多分再読。
でも例によってまったく覚えていなくて新鮮な気持ちで読めた。

ばななさんらしい力強く、それでいて繊細で美しい文章が印象的。
ばななさんの本を読むといつも「他者ときちんと向き合って丁寧に関わること」の大切さを教えられる気がする。
この作品も声高に訴えることはないけれど、人間の基本的な信頼、友情、愛情などがギュッと詰まっている物語だった。

原マスミさんの線も色も力強い挿画が作品にぴったり合っていてとても良かった。(しかもたくさん入ってる!)
また、ばななさん本人がエジプトを旅行した際の写真も楽しかった。

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倉知淳/猫丸先輩の空論

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

小柄で童顔、30過ぎのおっさんなのに見た目は高校生、でも態度は誰よりも偉そうな猫丸先輩が身近で起きる不思議の謎を解く短篇集。

日常の謎+安楽椅子探偵。
タイトルが「空論」というだけあって、状況から考えるとこういうことじゃないの?と推測するだけで検証したり確認したりはしないので本当にそれが真実かどうかも分からない。
でも、スタイルとしては嫌いじゃないし、推理もなかなか面白かった。

ただ、登場人物、特に猫丸先輩のキャラに共感出来なくてあまり楽しめなかった。
このキャラが好きになれるかどうかで、作品に対する評価も変わるのかも。
私は残念ながら苦手だな~(ーー;)

<収録作品>
水のそとの何か / とむらい自動車 / 子ねこを救え / な、なつのこ / 魚か肉か食い物 / 夜の猫丸

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2012/11/15

大崎梢/プリティが多すぎる

プリティが多すぎる

文芸作品の編集者を目指して出版社に入社したものの、3年目の春の人事で見たことも触ったこともないローティーン向けの少女雑誌の編集部に配属された新見青年の成長を描くお仕事小説。

主人公の新見がダメダメ社員ではなく、そこそこ頭がいいし人付き合いも仕事も出来る人物として設定されているのが興味深かった。
だからこそ、自分の中の理想と目の前にある現実とのギャップに当惑し、焦り、迷う姿にリアリティがあったと思う。

また、いくつか事件を経験したあとでも急に考えを切り替えるといった表現はなく、少しずつ変化していく様子を描いていることに好感が持てた。

ただ、モデルの子たちはみんな性格がよすぎなんじゃないの?と思ったり。
モデルなんかには縁のないごく普通の子だってあのくらいの年齢の女の子が何人も集まったら一筋縄じゃいかないと思うんだけどなあ。
ましてや人に注目されることが仕事で、自分の身体一つで少しでも上を目指してしのぎを削っているような少女たちがそうそういい子ばっかりというのはちょっと理想的すぎるような。

ただ、そこまで書き出すとあの枚数では終わらないだろうけどね。
しかもこの物語の主人公はモデルの女の子たちではなく、南吉こと新見くんなわけだから。

新見くんをイメージした人形がピンクの小物のなかを右往左往する写真の表紙が可愛かった(^^)

<収録作品>
PINK / PRIDE / POLICY / PARTY / PINCH / PRESENT

タイトルが「P」で始まる単語ばかりなのは、作中の雑誌「ピピン(Pipin)」のキャッチフレーズである「女の子はPが好き」に掛かってるのね。
この辺りの細かいこだわりが、物語の内容とも合っていて素敵♪

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志水辰夫/つばくろ越え

つばくろ越え: 蓬莱屋帳外控 (新潮文庫)

江戸から届け先まで一人で荷を運ぶ「通し飛脚」たちを主人公にした連作短編集。

面白かった。
荷や文を運ぶだけでなく、運んだ先のトラブルに巻き込まれる通し飛脚達の活躍。
人目を避けての逃走や相手の尾行、正面切っての乱闘など飛脚の仕事の域を越えていることも多い。
飛脚の話というより、ちょっとハードボイルドの私立探偵ものみたいな雰囲気のものもあった。

どれも面白かったし、きっちりした文章・構成で読み応えがあったけど、中でも「出直し街道」が好きだったな。

ただ、物語によって何人か別の飛脚が出てくるのに、人物の雰囲気が似ていてイマイチ見分けにくかったのが残念だった。

<収録作品>
つばくろ越え / 出直し街道 / ながい道草 / 彼岸の旅

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2012/11/13

井上夢人/ the TEAM ザ・チーム

the TEAM ザ・チーム

TVで人気の盲目の霊媒師とその背後で犯罪で依頼者の周辺を調べ上げるチームの話。

面白かった。
やってることは詐欺だの家宅侵入だの不正アクセスだのといった犯罪行為なんだけど、それで相手を脅したり不幸にしようとするのではなくあくまで「霊媒師」としての実績を上げるための手段であるところがよかった。
そしてその結果、きちんと相手の本来あるべき場所に導いて行ってるので、どの話もスッキリ読み終わることが出来た。

ただ、調査の手段として実際に現場に侵入して調べる草壁とインターネットを使う悠美の2人がいるのに、それぞれの活躍の比重に歴然とした差があり悠美の活躍が少なかったのが残念。
コンピュータ絡みの話を小説に盛り込むのって難しいのかな。

あと、登場人物はみんな個性的なのに外見的な特徴が書かれていないのでどんな人物なのか想像しにくいのももったいなかった。

ラストはうまくまとまっていたけど、ちょっと綺麗すぎかも。
面白かったのでできれば続編を読みたいけど、この結末だと難しいのかな。

<収録作品>
招霊(おがたま) / 金縛 / 目隠鬼 / 隠蓑 / 雨虎(あめふらし) / 寄生木 / 潮合 / 陽炎

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2012/11/11

志川節子/手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩

手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩 (文春文庫)

江戸・吉原を舞台にした連作短編集。
新入りの遊女に閨房の技を仕込む「上ゲ屋」、年季を積んだ妓を磨き直す「保チ屋」、遊女たちの心を探る「目付」など他の作品では聞きなれない、でも虚と実の鬩ぎ合う吉原になら確かにいそうな職業の男たちと妓たちの物語。

物語の展開、人物設定など緻密で背景もきちんとしているので、読みやすいし、読み応えあり。
一つ一つの物語が独立していながら、どこかで少しずつ繋がっている構成。
そのほんの僅かな、あるかなきかの繋がりかたがいい。
特に最初に出てきた花魁が最後の物語にも登場して輪が閉じるように終わっていくラストは見事だった。

七つ入っている物語の中では、加賀の絹糸仲買人が吉原に売られた会ったことのない姉を探して歩く「白糸の郷」が印象的だった。

<収録作品>
しづめる花 / うつろひ蔓 / 手のひら、ひらひら / 穴惑い / 白糸の郷 / 掴みの桜 / 浮寝鳥

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2012/11/07

畠中恵/ちょちょら

ちょちょら

財政が逼迫する多々良木藩の江戸留守居役に任命された新之助が藩の存亡をかけて手伝い普請のお役免除のために奔走する話。

面白かった。
畠中さんの作品の中で一番好きかも。

人物設定も人間関係もエピソードもとても丁寧に作ってあるし、どんな結末が待っているのかなかなか予想しにくくて最後まで緊張感を持ったまま楽しめた。

ストーリーは入り組んでるけどとても読みやすかったし、主人公の新之介を始め、仲間の留守居役たち、表坊主、札差らも個性的で生き生きと動いているのがとてもよかった。
特に主人公の新之介の力強さが素晴らしい。
文武に秀でた兄と小さい頃から比べられながら育った部屋住みの次男坊。
その兄がある日突然理由も告げずに切腹して果てたことで、思いがけず兄の就いていた江戸留守居役という重要な役目をいただくことになる。
他の藩や幕府の要人との折衝や接待、自藩の藩主が登城する際の介添えと今までののんびりした部屋住みの身分とは違い、覚えること、やらねばならないことが山積みの上に、今にも倒れそうな藩の財政を守るためにお助け普請の役目から逃れるために奔走する…。
上司(自藩の家老)にも理解されず孤立し、経験も人脈もないなか、失敗したら死をも覚悟した新之介がそれでも藩のために、そこに住まう人々のために己に出来る事をやろうとする姿に心を打たれた。
現実ではこうは上手くいかないと思うけど、何かにぶつかったときに最初から無理だと諦めるのではなく、出来るところまで必死になって頑張ることは大切だよね、と思った。
そしてそいういう誰かをきちんと見て、自分が出来る限りの助力をしてやれる隣人でもありたいと心から思う。
終わり方はちょっと意外だったけど明るさがあって読後感もよかった。

ただ難を言うと物語の内容と、タイトル+表紙イラストが微妙にマッチしていなかったような。
見た目から言うともっとお気楽な話なのかと思ったら、いきなり新之介の兄が切腹するところから始まったので驚いた。
しかも「ちょちょら」って岩崎のことだよね。(作中で一箇所だけそういう記述があった)
なんでここで岩崎の性格をタイトルに持ってくるのかがよく分からないんだけど。
もっと相応しいタイトルがあったんじゃないのかなあ…。

ところで、この話で一番活躍したのは実は一度も登場しないし、名前さえも出てこない新之介の妹なのではないかと思う(笑)

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2012/11/05

東野圭吾/真夏の方程式

真夏の方程式

ガリレオシリーズの長編。

面白かった~っ!
上手いよねえ。人物設定とか人間関係とか。

なにより今回は全然違うところにいる(湯川の旅先で遭遇した事件)のに草薙をちゃーんと引っ張りだしちゃう手法が素晴らしかった。

そして、草薙と内海が持ち帰ってくる結果によって組み立てられていく真実。
これを最初から見抜いていた湯川は凄すぎ。どこまで見えちゃうの?(汗)

子どもとか綺麗な海とか環境問題とか出してきちゃったりして、いかにも「映像化を意識しましたよ」な作品になってるけど、そして結末は切ないけど(映像化されたあとの)このシリーズらしい作品だった。
映画も楽しみ♪
ただ、今回の映画には内海役の柴咲コウはでない、という話があるけどホントかな?
原作では草薙と同じくらい働いてますけど…どうなんでしょ。
出ずっぱりだとちょいウザいけど、出ないと寂しいような…。

「今回のことで君が何らかの答えを出せる日まで、私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。忘れないでほしい。君は一人ぼっちじゃない」p412より

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2012/11/04

赤川次郎/鼠、夜に賭ける

鼠、夜に賭ける (角川文庫)

シリーズ4作目。

うーん、イマイチ。
前作は登場人物がほとんど町人だったのでいい感じで人情話になっていたけど、今回は侍が絡んだ血腥い話がメイン。
内容も変に入り組んでいて分かりにくいし、結末も暗くて気持ちよく読み終われるものが少なかった。残念。

なんか侍が出てくると大雑把な斬り合いになっちゃってちっとも面白くないんだよなあ。
しかも話の進め方も自分のことしか考えていないので、登場人物に感情移入しにくいし。
もうちょっとどうにかならなかったんだろうか。

前作で出てきた女医の千草と次郎吉の仲が微妙に縮まっているところは良い感じだったけど。
あと、最後に出てきた同心の香川左内が気になる。

<収録作品>
鼠、夜道を行く / 鼠、夜に賭ける / 鼠、弓をひく / 鼠、分かれ道に立つ / 鼠、うたた寝する / 鼠、猫に訊く

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2012/11/03

赤川次郎/鼠、影を断つ

鼠、影を断つ (角川文庫)

鼠シリーズの3作目。

今回も面白かった。
次郎吉も妹の小袖も腕が立つのであっという間に敵がやられてしまい危なげがなさすぎる部分がちょっと物足りないけど、短編らしいテンポの良さで楽しく読めた。

最後の話に出てきた2人はこれから先も引き続き登場するのかな。
12歳ながらしっかりもののお国も可愛いけど、医者の千草と次郎吉はこれからいい雰囲気になっていきそうな気配なので今後が楽しみ。
男勝りな小袖の恋の話とかも読みたいなあ。

<収録作品>
鼠、火の粉をかぶる / 鼠、くじを引く / 鼠、面子をかける / 鼠、つきまとわれる / 鼠、幻をみる / 鼠、妖刀の影を断つ

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