志川節子/手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩
江戸・吉原を舞台にした連作短編集。
新入りの遊女に閨房の技を仕込む「上ゲ屋」、年季を積んだ妓を磨き直す「保チ屋」、遊女たちの心を探る「目付」など他の作品では聞きなれない、でも虚と実の鬩ぎ合う吉原になら確かにいそうな職業の男たちと妓たちの物語。
物語の展開、人物設定など緻密で背景もきちんとしているので、読みやすいし、読み応えあり。
一つ一つの物語が独立していながら、どこかで少しずつ繋がっている構成。
そのほんの僅かな、あるかなきかの繋がりかたがいい。
特に最初に出てきた花魁が最後の物語にも登場して輪が閉じるように終わっていくラストは見事だった。
七つ入っている物語の中では、加賀の絹糸仲買人が吉原に売られた会ったことのない姉を探して歩く「白糸の郷」が印象的だった。
<収録作品>
しづめる花 / うつろひ蔓 / 手のひら、ひらひら / 穴惑い / 白糸の郷 / 掴みの桜 / 浮寝鳥
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