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2012/12/07

小路幸也/21 Twenty One

21 twenty one

21世紀に21歳になる21人のクラスメイト。
3年間一緒に過ごした中学時代の固い結束のまま大人になり、このままみんなで年を重ねていくのだろうと信じていた25歳の夏、晶が自殺した。
彼は何故一人死を選んだのか-。

クラスのメンバー一人一人にスポットを当てて晶や自分、クラスメイトたちの思い出を綴っていく構成。
それぞれの性格設定と人間関係、エピソードがすごく自然にマッチしていて説得力がある。
小路さんの丁寧な描写に引き込まれた。

ただ、やっぱりこういう物語って結末をどうするのかが難しいんだなあ。
生きてる人間が語る部分はどれも生き生きしていて説得力あったけど、晶が死んだ理由はなんだかどれも空々しくて真実の欠片も見えたような気にはなれなかった。

特にそれぞれが「晶が死んだのは自分が原因かもしれない」と思う部分はう~ん?って感じ。
確かに身近な人に自殺とかされちゃって自分に思い当たることがあるとしたらそんなふうに思うのが自然なのかもしれないけど、なんとなく読んでいると「おこがましい」という気分になってしまう。
他人に死を選ばせることが出来るほどの人間ってそんなにいるかな?と思うので。

あと、最後に提示された理由も「そんなことでほんとに死んじゃうかな?」と思う。
まあ、人生で何が大切かなんて人によって様々だし死ぬ理由も人それぞれだろうけど。
でも、それで死んでしまうのだとしたらあの21人の関係というのは非常に「歪」なものなのではないかと思えてくる。
お互いがお互いを認め合い、争いもなく助けあって生きていく、そうしているように見える彼らの関係が「歪」なのだとしたら、真っ直ぐなものはこの世界のどこにあるのだろう。

人が自分で死を選ぶ理由なんて他人が推し量れるものじゃないし、逆に「これが理由だ」って言われても納得出来ないものなのかもしれないな。
(「実は自殺じゃなかった」という結論もアリかも、と思っていたのだけどそれはなかったな)

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