池永陽/珈琲屋の人々
生家のある商店街の土地を買い取るために悪どいことを繰り返していた地上げ屋の男を殺してしまった過去を持つ行介。
8年の刑期を終え出所した後、地元に戻り父親の跡を継いでマスターを務める「珈琲屋」での客と行介との交流を描く連作短編集。
う~ん、なんていうか「昭和」な雰囲気の作品だった。
よく言えばノスタルジック、悪く言えば古臭い。
だいたい主人公の行介の話し方とか、考え方からしておっさん臭すぎる。
同級生だという冬子も島木も含め30代後半には見えないなあ。
せいぜい50代前半って感じ。
あと「心を忘れた少女」に出てきた女子高生もなんとなく今時の女子高生って感じではなかったし。
かと思うと「すきま風」に出てきたじいさんたちはまるで中学生みたいだし。
なんとなく設定の焦点が合っていない感じがして、読んでいて居心地が悪かった。
それに、登場人物がほとんどみんな自分勝手すぎる。
なんでみんな自分の都合だけで行介に戦いを挑みに来るの?
そして何故行介はそれを受けるのかも謎。
最後の話では「あんたは柔道でインターハイに行ったんだから俺は道具を使う」って匕首を出してくるってあり得ないでしょ(^^;
しかも、そうは言いつつも最後は収まるところに収まってまるく終わるのかと思いきや、あんな結末…。
まあ、確かに「人生は続く」というエンディングではあったけども、納得は出来なかった。
<収録作品>
初恋 / シャツのぬくもり / 心を忘れた少女 / すきま風 / 九年目のけじめ / 手切金 / 再恋
イラストレーター中川学さんによる表紙イラストは味わいがあって素敵。
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