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2013/02/28

三上延/ビブリア古書堂の事件手帳4~栞子さんと二つの顔~

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

大震災から1か月後。
ビブリア古書堂に栞子たちの母親である智恵子を訪ねて一人の客が訪れる。
かつてビブリア古書堂の通販取引で古書を購入したことがある人物の代理と名乗るその人物から、「相談したいことがあるので家に来て欲しい」との依頼を受ける。
大きな洋風の別荘といった趣のその家には江戸川乱歩の膨大で希少なコレクションが収集されていた。
依頼人からそのコレクションの売却を条件としたあるものの入手を引き受ける栞子。
引き受けた栞子は調査を開始、少しずつ真実に近づいていくがそこに10年間音信不通だった栞子たちの母親が現れ…という話。

今回は長編で全編江戸川乱歩。
面白かった。長編だけあって読み応えあり。

リーダビリティがよくてしかも先の予測が出来ないので、ページを捲る手が止まらない!という感じ。
更に非常に丁寧で膨大な乱歩についての知識が、物語の中できちんと咀嚼されているのが素晴らしい。
こういうトリビア的な内容を自然に物語の中に取り込むのってけっこう難しいと思うけど、それが違和感なくするっと入っているのが凄い。
そして膨大な資料を読み込み、多くの日数を費やして書かれたのであろうそうした薀蓄を著者の苦労も気にせず読み飛ばす贅沢さ!w
ただ、暗号文のくだりは残念ながらよく意味が判らなかった…(^^;

物語は栞子たちの母親の登場で大きく動き出した。
でも、栞子だけの言い分を聞いてたときとは随分印象が変わったかも。
まあ、確かに単純に「いい人」ではないと思うけどね、単純に「悪い人」でもないんだな、と。
あくまで自分の気持ちに素直な人なのかな。
一般的にそういう人物は周囲から見るとはた迷惑なものだもんね。

栞子の母親に対する態度は以前からそうだろうなと思っていたとおり、近親憎悪という感じ。
逆にいうとそれだけ母親のことを意識している証拠。
いつか自分もああなるかもしれないという恐怖と予感が栞子の行動を律しているような気がするな。
大輔も栞子が好きなだけにその栞子の気持に引きずられてしまっている部分はあると思う。

それに対して妹の文香の態度は見事。
2人の間の緊張をものともせず、自分の言葉と態度で切り込んでいく。
非常に素直だし、かつ大人な対応で思わず感涙。
あの態度やセリフもももしかしたら文香なりの計算なのかもしれないけどそれはそれでいいと思う。
最初の頃は物語の中で一人だけテンションが違うのでちょっと違和感があった(個人的な感想として)文香だけど、ここに来て真価を発揮し始めた感じ。
というか、もともとそういう役割の子なんだろうな。
それはそれで不憫ではある…。

智恵子の消息を志田までが知っていたという事実、そして栞子との関係は進展したものの智恵子に憎まれた(?)大輔の今後など、多くの謎を秘めたまま物語は後半へ。

続きが楽しみ。

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