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2013/02/20

皆川博子/開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)

18世紀ロンドン。
聖ジョージ病院外科医のダニエル・バートンは外科医の地位向上と、医学への貢献を目指し私的に解剖教室を開き有能な学生たちを指導していた。
しかし、外科医に学術的な解剖が許可される遺体は年間数体しかない状況だったため、バートンは違法と知りながら墓暴きから遺体を買い取ることで研究を進めていた。
ある日、バートンの元に妊娠6ヶ月の若い女性の遺体が運び込まれる。
早速学生たちを呼び集め解剖を始めようとしたそのとき、どこからか情報を聞きつけた街の治安隊が登場。
学生たちは慌てて遺体をかねてより用意していた巻き上げ機を使い暖炉の奥に隠しその場をやり過ごすが、その後遺体を戻すために暖炉に入ってみると、なんと遺体は3つに増えていた-。

長編ミステリー。

最初の方で学生やら治安部隊やら大勢の人物が次々に登場して、更に死体もゴロゴロ出てくるのでちょっと混乱したけど、その後人数が絞られてからはスムーズに読了。
緻密な物語で読み応えがあった。
当時のロンドンの詳細な描写もいい。
また、キーになる2人の行動がどちらに与するのかが最後まで判らず、着地点がなかなか見えないので最後まで緊張感があってよかった。

ただ、皆川さんの作品としてはわりとあっさりした印象。
解剖を扱った話だしもっとドロドロした内容かなと思っていたので、その点はちょっと肩透かしだっかも。その分、読み易かったわけでもあるけど。

あくまでも誠実に医学の向上を目指すダニエル・バートンの実直さが印象的。
そして彼を師として慕い、仲間を信じる学生たち(バートンズ)の明るさもいい。
わけありだったエドとナイジェルは真っ直ぐな彼らの存在にとても救われたんだろうな。

エドとナイジェルがその後どうなったか、あるいは出会うまでの物語も読んでみたい。

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