映画:レ・ミゼラブル
話題の映画「レ・ミゼラブル」を観てきた。
すごく評判がよかったので「どれどれ」と思って観に行ったんだけど、期待以上の素晴らしさに感動。
圧倒的な歌の力に翻弄された2時間半だった。
ミュージカルだというのは知っていたけど、あんなに全編歌っているとは思わなかったのでそれがまずビックリ。
しかもみんな恐ろしく上手い!
メインの役者さんはみんな歌手とかじゃなくて普通に映画に出ている俳優、女優さんだよね。
なのにあれだけの歌唱力が引き出せてしまうところが凄いなあと思った。
日本だったら絶対無理でしょう。
見ていて思ったのは「ミュージカルという方法は凄い」ということ。
普通の映画であんな説明的なセリフを一人で延々と喋っていたら絶対に変だけど、逆にその方が説得力があるし感動するし展開も速いという。
あれだけのドラマを普通のセリフでやったら、あの時間では終わらないし、終わらせようと思ったらいろんな部分を端折らざるを得ないと思う。
それが成功するのもそれだけの楽曲と歌唱力があってこその話だけど。
ただ、逆に歌があまりにも圧倒的なので、ストーリーはよく判らないけど感動しちゃうという部分はあったかも。
以下、謎の部分。(ちなみに原作は未読です(^^;)
- ファンテーヌが工場を追い出された理由がよく判らない。
「隠し子がいたから云々」とか言われていたけど、なんで子どもがいたら工場を辞めなきゃならないの? - ジャン・バルジャンはどうやって8年で仮出獄の身から(それを隠して)市長の地位に辿り着いたのか。
これが一番不思議。出来ればスピンオフでこの間の話が観てみたいくらいw - 逃亡中のジャン・バルジャンはどうやってお金を得ていたのであろうか…。 確かに市長だったんだからそれなりにお金はあったと思うけど、9年も2人で逃亡してしかもあんないい暮らし出来るほど持っていたとは考えにくいんだけどな。
- マリウスとコゼットが初めて会った夜、テナルディエは何をしにジャン・バルジャンの家に行ったの?
エポニーヌとのやり取りからするとそこがジャン・バルジャンの家だとは知らなかったみたいだけど…。
強盗に入ろうと思って行ったのがたまたまジャン・バルジャンの家だったってこと? - ジャン・バルジャンがテナルディエ夫婦に再会したとき、なんで慌てたの?
最初のときにお金払ったんだから堂々としてればいいんじゃないの? - コゼットとマリウスの結婚式に姿を表したテナルディエ夫婦は何をしに来たの?
ジャンバルジャンが死体を運んでいたことをマリウスに教えに来たみたいだけど、それによって彼らが得をすることってないような気がするんだけど。 - ジャン・バルジャンがパン1個盗んだだけで捕まったのに、テナルディエ夫婦はあんなことばかりやってるのになんで捕まらないんだ。
などなど(ありすぎ?w)。
これは原作読めば納得できるのかな。
そのうち読んでみよう。
映画を観た限りではこの物語の中で結果的に一番可哀想だったのはジャベール警部だったな。
他の人物は誰かに希望を託して安心して、あるいは自分の信念のために死んだけど、彼はそれまで信じていた今までの自分を無くして真っ暗なまま死んでしまったわけでしょ。
確かにそれまで思考停止状態だったので自業自得かもしれないけど、それでもあそこで自殺させる意味がよく判らなかったな。
宗教的な意味合いがあったのかしら。
一方この物語の中で一番人格(性格)が不明なのってコゼットだった。
何を考えているどんな人物なのかさっぱり判らない。
彼女は物語の中で「愛」とか「希望」とか「純潔」とか「正義」とか、そうした美しいものの象徴なのかな。
だから美しく誰からも愛される。
でも彼女自身によって心を揺さぶられるというシーンは少なかったように思う。
エポニーヌがもっと嫌な女だったらまた違ったのかもしれないけどね。
でも、映画全体としては非常に素晴らしい作品だった。
ハリウッドの実力を正しく行使した結果であると思う。
観てよかった。
■映画「レ・ミゼラブル」公式サイト (音が出ます)
レ・ミゼラブル~サウンドトラック ![]() | レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫) ![]() |
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コメント
長いですが
・ファンテーヌが工場を追い出された理由がよく判らない。
→これは当時の貞操観念を理解していないと難しいです
未婚の母はふしだらな道を外れた女、ということで嫌われるというか見下されるんです。
今の日本でも多少は残ってる貞操観念ですが、当時だから余計になんだと思います。
・ジャン・バルジャンはどうやって8年で仮出獄の身から(それを隠して)市長の地位に辿り着いたのか。
→資金はもらった銀食器を使って、一生通じてそうしているように当時も人助けしていて
その中で大物を助けて、その人から援助受けて工場もてるようになって
とある技術で大儲けしてそのお金で人助け続けたら皆に支持されて
固辞していたのだけど大人気すぎて断れなくなった
・逃亡中のジャン・バルジャンはどうやってお金を得ていたのであろうか…
→工場で大儲けしたお金を隠してそれをちょくちょく掘り出して使ってた
ちなみにマリウスの祖父は金持ちのように映画では見えますが
実際には年金暮らしの貧乏貴族
ジャン・バルジャンは隠していたお金の残りを結婚の持参金として渡すことで
二人は豪勢な結婚式もできるようになります
マリウスとコゼットが初めて会った夜、テナルディエは何をしにジャン・バルジャンの家に行ったの?
→ちょっと原作と違うのでなんとも言えないですが
原作準拠で考えるならジャン・バルジャンの家だと知っています。
お金持ちなのにコゼットを安売りした=もっと高く売りつければよかったと後悔していたので
その分を人を集めて強引な方法を使い取り返そうとしています
ジャン・バルジャンがテナルディエ夫婦に再会したとき、なんで慌てたの?
最初のときにお金払ったんだから堂々としてればいいんじゃないの?
→原作では狭い室内に悪漢にほぼ軟禁状態なので映画よりよほどピンチな状況ですが
終始人違いですよという感じで堂々としています。
ただ暗い場所で金くれーお前の正体バラすぞみたいな人に腕掴まれたら
慌てた方が自然かもしれません
コゼットとマリウスの結婚式に姿を表したテナルディエ夫婦は何をしに来たの?
→コゼットの後見人が強盗犯で殺人者だという情報を持っているから
それを世間にばらされればコゼットは一生後ろ指さされる
だからその情報を高く買え、と言いにきたんです
原作ではマリウスがジャン・バルジャンの告白を聞いて
独自調査して当時まだ新聞やマスコミが発達していなかったこともあり
色々と勘違いしてしまいます。
市長の金を盗んで財を築いた、とか
(なのでせっかくの多額の持参金も使わないようになります)
ジャベールが死んだことだけは知っていて
あぁそういえばバリゲードでジャン・バルジャンが殺してたなとか
なので、テナルディエが売ろうとしていた情報=強盗犯で殺人者という情報を
あぁんなもん知ってるよ、と買ってくれないので
テナルディエはそれは違うとジャベールの新聞記事まで出して
親切にも教えてあげます。
それによってマリウスの誤解が解けて、けど強盗犯で殺人者だよ!
その情報を買ってよ!って言おうとしたのに、それはマリウスの事だったので…という
ジャン・バルジャンがパン1個盗んだだけで捕まったのに、テナルディエ夫婦はあんなことばかりやってるのになんで捕まらないんだ。
→捕まって脱獄してたりします。
投稿: | 2013/02/12 16:20
■2013/02/12 16:20のコメント者様
こんにちは。
私のひとりごとのような疑問に対して丁寧で詳細な回答をありがとうございました!
どれも「なるほど!」でした。
特にジャン・バルジャンの映画では語られなかった過去については非常に興味深かったです。
市長になろうとしてなったわけではないんですね。
あと、(名門と思われる)マリウスと(出生もはっきりしない)コゼットが何故簡単に結婚できてしまったのかもちょっと不思議だったので、その部分の回答もいただけて嬉しかったです。
どれもちゃんと原作には書いてあることなんですね。
理解力が追いつかないので「古典」はなかなか敷居が高いのですが、近いうちに読んでみたいと思います。
私のために時間を割いていただいてありがとうございました(^^)
投稿: tako | 2013/02/12 19:55