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2013/02/27

松井今朝子/一の富 並木拍子郎種取帳

一の富―並木拍子郎種取帳 (時代小説文庫)

人気戯作者・並木五瓶に弟子入りした武家の次男坊・兵四郎。
「拍子郎」と名前を変えて師匠が芝居を書くための「種」を拾って歩くのが日課となった若者の活躍を描く連作短編。

登場人物は個性的な人物が多いし、事件も割と面白いのになんとなく今ひとつ。
全体的に登場人物がみんな引っ込んでる感じ。
事件があって、それに実際に関わっていても他人事みたいに遠くから眺めているという印象を受けた。
特に五瓶はもうちょっと事件について前のめりな感じでもいいのでは。
「師匠が乗ってこないから却って拍子郎が深みに嵌っていく」という部分もあったので、もともとそういう役割なのかなとも思うけど。
同じ五瓶さんが出てくる作品なら以前読んだ『東洲しゃらくさし』のほうが面白かった。

ただ、それにしては主人公の拍子郎も今ひとつ掴みどころがない感じでもどかしかった。
もっと自己主張してもいいんじゃないのかなあ。

拍子郎とおあさの恋模様はなかなかいい感じだった。
特におあさ側からの描写は初々しく、かつ切実で共感することが出来た。

この後も続いているようなので、もっと読めば面白くなるかもと思うけど今のところイマイチ食指が動かない。
拍子郎とおあさがこれからどうなるかや、拍子郎と兄の関係など気になる点はあるし、読みやすい作品ではあるのでまた機会があったら読んでみよう。

<収録作品>
阿吽 / 出会茶屋 / 烏金 / 急用札の男 / 一の富

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