朝松健/暁けの蛍
旅の途中で偶然出会った青年僧・一休宗純と年老いた申楽の天才・世阿弥。
渡しの舟に乗り遅れた二人はそのまま川端の破れ小屋で一夜を過ごすことに。
昔語りで時間を潰す二人の元に今はもう存在しない遊里へと誘う不思議な舟が現れる。
二人がその先で目にしたものとは-。
面白かった。
天皇の皇子として生まれながら政治的な思惑により幼い頃から親と引き離され僧として生きることを運命づけられた一休と、圧倒的な美貌と天才的な才能を持って申楽の家に生まれ一時は三代将軍・義満の寵愛を得るまでなったものの代替わりした将軍に疎まれ演じる場さえも奪われようとしている世阿弥。
時代の天才と言える2人の激動の半生が静かで丁寧な筆致で描かれて読み応えあり。
更にそこにこの世ではない妖しの世界を絡め、二人の精神的な陰影を明確にしている。
最初は一休メインの話かと思ったけど、最後には世阿弥の芸に掛ける一途さ、冷厳さが印象に残った。
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