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2013/03/01

小路幸也/キシャツー

キシャツー

北海道の小さな田舎町。
1時間に1本、1両編成の電車で学校に通う「キシャツー」組のはるか、あゆみ、このみのテニス部ひらがな3人組は海岸に建てられた真っ赤なテントの存在に気づく。
3人組と美人の先輩 沙絵、はるかの幼馴染で生徒会長の良夫、その親友の遼太郎の6人はそこでキャンプをしていた東京の高校3年生の光太郎と知り合う。
光太郎はある人物を探す目的のために夏休みを利用してこの町にやって来ていた、
それを知った6人は光太郎に協力を申し出る。
北海道の小さな美しい町を舞台に綴られる7人の少年・少女たちの出会いの物語。

想像していた内容と全然違ったけど、面白かった。
とても爽やかな青春小説。

登場人物がみんなちょっといい子過ぎるという嫌いはあるものの、それはこの作品の場合欠点ではなく美点。
物語自体もうまく行きすぎであまり引っかかる部分はない。
光太郎が探していた人物があっさり見つかってしまうのも、更にはその人物と光太郎が再会したときに何の波乱もないことも正直驚いたくらいだった。
普通だったらそんなフラットなストーリーでは飽きてしまうのではないかと思うくらいスムーズな展開。
ただこの作品の場合、そうしたストーリー展開よりも登場人物それぞれが魅力的でみんなの会話を読んでるだけで幸せな気分になった。
ただひたすら、彼らが自分を、そばにいる誰かを、そしてお互いをどう思うかその視線の先にあるもの、言葉、想いを見ていたい、聞いていたいと思わされる物語だった。
これは人物を丁寧に魅力的に描ける小路さんならではだろうなあ。

ただ、こんな高校生がそんなにいるとも思えないので、ある意味「ファンタジー」のような気もしたり。

ただ、それだけにあの終わり方はあっさりしすぎていて残念。
もうちょっと賑やかというか丁寧なエンディングが読みたかったな。

大人になった7人や今回語り手にならなかった遼太郎、あゆみ、このみの物語も読んでみたい。

「どうしてそんなふうに求めるのかな」
「求めるって?」
「とりあえず今現在ここになくてもなんの影響もないものなのに、何かの答えを求めてしまう」(p122)

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