斎藤美奈子/名作うしろ読み
古今東西の「名作」と呼ばれる小説の最後の一文からその作品を読み解く書評本。
斎藤さんの本を読むのは久しぶり。
相変わらず斬新な切り口、辛口で勢いのある文章が楽しかった。
読売新聞のコラム欄での連載をまとめた作品とのことで、1作品の分量がちょうど見開き2ページにまとまっているので読みやすい。
その中で末尾の一文に対応する冒頭の文章から始まって簡単な粗筋と斎藤さんの気になるシーンへのツッコミなど盛り沢山な内容で楽しめた。
一番最初に取り上げられているのは夏目漱石の『坊ちゃん』。
この作品のラストは「だから清の墓は小日向の養源寺にある。」という一文らしい。
ここに書いてある「だから」を井上ひさしは『日本文学史上もっとも美しい「だから」』と評し、斎藤さんも『その通りだと思う』と書いている。
ここを読んで、この一文を書きたくてこのスタイルの書評を思い立ったのではないのかな、と思えた。
今回は「名作」「古典」といった作品ばかりだったけど、最近の作品も同じ形式で批評して欲しいな。
お尻がわかったくらいで興味が半減する本など、最初からたいした価値はないのである。っていうか、そもそも、お尻を知らない「未読の人」「非読の人」に必要以上に遠慮するのは批評の自殺行為。評論が宣伝に成り下がった証拠だろう。(p290より)
本の話は「既読の人」同士でしたほうが絶対面白いんだから。(p290より)
それにしても収録されている132作品のうち私が読んだことがあったのは4作だけというのが情けない。
反省しなさい>自分。
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