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2013/06/01

有栖川有栖/江神二郎の洞察

江神二郎の洞察 (創元クライム・クラブ)

学生アリスシリーズの短篇集。

アリスが大学に入学して江神と出会い推理小説研究会に入ってから翌年の春にマリアが入部するまでの1年間の出来事を追った9編の作品が収録されている。

面白かった。

謎そのものよりも研究会のメンバーたちによって語られる「ミステリー論」が楽しかった。
こうやって結論が出ない話を延々と(作品中に出てくる言葉を借りれば「無為」に)続けられるのは学生の特権だという気がするな。
そういう空気感をとてもうまく表現している作品だと思う。

9編の中では、アリスと江神が2人だけで大晦日の夜を過ごす「除夜を歩く」が好き。
望月の書いたミステリー小説を肴にその謎解きをしつつ、その中で交わされるミステリー論。
更に京都の大晦日の風物詩、八坂神社の「おけら参り」の様子が描かれる。
新年を迎える高揚と、同時に往く年を見送る静けさに満ちた静謐な空気が漂う雰囲気がとてもよかった。

著者のあとがきによればこのシリーズは「長編五冊と短編集二冊で完結させるつもりでいる」とか。
今までに長編が四作出ているようだけど、私はこのシリーズ、短編をいくつか読んだだけで長編は未読なので今度挑戦しよう。
まずはこの作品の中でも何度も出てくる矢吹山を舞台にした事件『月光ゲーム』かな。
ちなみに五冊目の長編はまだいつ出せるか未定、とのこと。
また、短編集も今回の作品がなんと27年後し(!)だということなので、(そこまで時間は掛けられないにしても)次はまだしばらく先になりそう…かな?
いずれにしても楽しみに待ちたい。

<収録作品>
瑠璃荘事件 / ハードロック・ラバーズ・オンリー / やけた線路の上の死体 / 桜川のオフィーリア / 四分間では短すぎる / 開かずの間の怪 / 二十世紀的誘拐 / 除夜を歩く / 蕩尽に関する一考察

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