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2013/07/13

宮部みゆき/桜ほうさら

桜ほうさら

偽文書により身に覚えのない罪に問われ切腹して果てた父親の無実を証明するため、藩の江戸留守居役・坂崎によって江戸に呼び寄せられた笙之介。
貧乏長屋に住み、貸本屋を営む村田屋の代書屋の仕事を請け負いつつ父を陥れた犯人の行方を探る笙之介の江戸での暮らしを描いた連作短編集。

相変わらず文章が丁寧で上手い。
人物の描き分けも見事。

物語も事件の謎が見えてくるまでは面白く読んだけど、最後の展開は今ひとつ登場人物の気持ちに寄り添うことが出来ず取り残されてしまい残念だった。
何故かというと笙之介の母親の魅力がまったく判らなかったから。
最後に東谷(坂崎)が何故それほど彼女を庇うのかというその根本のところがさっぱり理解できなかった。
同様に押込御免郎と治兵衛の関係も難しいけど、あれは治兵衛によって関係性が詳しく語られていたからまだわかり易かった。
東谷と笙之介の母親の間にどんなやり取りがあったのか、もう少し回想という形ででも表現されていたらまた印象が変わったんじゃないかな。

メインの話より三八野(みやの)藩の長堀さんの話が好きだったな。
長堀の実直で真摯な人柄がとても気持ちよかった。
この話だけは悪人が登場しなかったせいもあるかも。
旅立ちの場面は泣けた。

「長堀さん、どうぞお元気で」
「古橋殿もな。貴殿がこの江戸で歩む道が、平らかに広くこの世に通じるものであることを、この老体、奥州の鄙の片隅にて祈念しておりますぞ」(p298)

<収録作品>
富勘長屋 / 三八野愛郷録 / 拐かし / 桜ほうさら

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