中島要/ひやかし
江戸・吉原の遊女たちとその想い人、家族たちの姿を描いた短編集。
吉原に身を置く様々な立場の女達の周辺が丁寧に、でもスッキリとしたリズム感のある文章で描かれていて読みやすかった。
中島さんの作品はこのところ何冊か読んでるけど、文章のテンポはこの作品が一番好きだな。
5編の中では大見世の花魁・朝霧を主人公にした「色男」が好き。
大店の主人で朝霧を根引きしようとする清右衛門とその甥で貧乏旗本の伊織。更にかつて朝霧が本気で惚れた伸太郎の三人の男たちに対する花魁の心の動きが印象的。
また、殆ど他の人物の会話や回想の中にしか出てこない伸太郎が最後には非常に印象に残る設定になっているのが面白かった。
最終話「夜明」のラストニ行も秀逸。
このラストのおかげで全体が読後感のいい作品になった。
<収録作品>
素見(ひやかし) / 色男 / 泣声(なきごえ) / 真贋 / 夜明
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