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2013/08/24

出久根達郎/猫の似づら絵師

猫の似づら絵師

勤めていた貸本屋が左前になり暇を出された銀太郎と丹三郎。
今夜寝るところもなく困っていた二人に声を掛け長屋を世話してくれた源蔵の発案で銀次郎は猫の似顔絵を描く商売を始める。
御用聞きに回る銀太郎が出くわす厄介事を源蔵たちが解決する…という話。

その日暮らしなのにのんびりしていて気がいい銀太郎と貧乏神売りの丹三郎、饂飩が好きで毎日作っているのに全然上達しない源蔵などキャラや内容は面白いし、セリフもちょっと落語を思わせるような軽快さで読みやすい。
ただ、それに対する地の文の反応が妙に淡白であまりツッコミがないのでそのままスルーっと流れてしまう感じだったのが残念。
もうちょっと内容に緩急があったほうがよかったな。

途中にさりげなく出てくる当時の風習、風俗は今まで知らなかったことが多く興味深かった。
夏は布団も火鉢もいらないし着物も単衣だけでいいので家財道具を全部質に入れてそのお金で仕事をせずに涼しくなるまで過ごす、という描写にビックリw
江戸庶民、自由すぎるw

日がな一日働きもせず趣味の(不味い)饂飩づくりをして、絵が驚くほど上手く、知恵も回る…という謎めいたキャラクターの源蔵の正体は何だったのか気になる。

途中に挿入された中一弥さんの挿画が、軽いタッチなのに線がしっかりしていて素敵だった。
中さんは今年103歳!
まだ現役で描いていらっしゃるのかしら。素敵だな。
作家の逢坂剛さんのお父様とのこと。

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