小路幸也/ナモナキラクエン
突然父親を亡くしたそれぞれ母親が違う4人の兄妹が、小さいころ別れたきり会っていなかった母親に父の死を知らせに行く話。
「家族」と人と人の繋がりがゆったりと柔らかいタッチで描かれていて心に響く。
人はこんなにも誰かを大切に思うことが出来るものなのかな。
父親の志郎は物語の冒頭で死んでしまうので、子どもたちの思い出や会話の中にしか出てこないんだけど彼の生き方、想い、決意、そういったものがさり気なく、でも確実に伝わる描き方がとてもよかった。
彼に育てられた4人の子どもたちも、彼らの周辺の人物もみんな魅力的。
テーマはとても重いけど、悪人が誰一人として出てこない描き方が小路さんらしくてとてもよかった。
現実には「そうしよう」と思っても、そうならないことのほうが多分多いのだろうと思う。
ここに出てくるような家族が現実にいたら、きっともっと殺伐とした物語が描かれることだろう。
でも、だからこそここに描かれた「ラクエン」とそこに至る人々の思いを、私たちは信じたいと思う。
美しい山と水に囲まれた場所で暮らす4人の兄妹と彼らの愛する人、そして彼らを見守る人々がずっと笑顔でいられますように。
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