西條奈加/朱龍哭く 弁天観音よろず始末記
下町の長屋で長唄の師匠をしているお蝶と、亡き父の跡を継ぎ八丁堀同心となったお蝶の腹違いの兄に嫁いだ沙十(さと)。
義理の姉妹である美人2人が持ち込まれる騒動を解決する連作時代小説。
読み始めは、気風が良くて真っ直ぐな気性の妹と、おっとりしてるけど実は薙刀の名手の姉の2人組が周りを巻き込んで謎を解決する軽めの時代物(短編)かと思ってたのに、読んでたらだんだん重い話になってきちゃって途中で手が止まってしまい読了までに時間が掛かった。
途中、何が起きているのかがなかなか明かされずに不穏な雰囲気だけが広がっていく場面がちょっと長めに続くので、そこがキツかったかな。
でもそこを過ぎて物語が真相究明と解決に動き出すと、一気に盛り上がって面白くなった。
山場の敵方との対決シーンも緊迫感があってよかった。
物語の性質上仕方ないんだろうけど、誰が味方で誰が敵かなかなか判らないのがけっこうストレス。
(普通はそこが面白いところなんだろうけど、へなちょこな私は緊張感に耐えられなくなってくるのであった…(T_T))
でも最後はそのあたりの事情も含めてきちんと伏線を回収しての明るいエンディングで読後感はよかった。
<収録作品>
はなれ相生 / 水伯の井戸 / 手折れ若紫 / 一斤染(いっこんぞめ) / 龍の世直し / 朱龍の絆 / 暁の鐘
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コメント
初の現代ものはあったかい
西條奈加さんの『無花果の実のなるころに』が文庫になったので読みました。
この作家さんの現代ものってはじめてだったのですが、キャラクターが良くて読みやすかったです。特に主人公の中学生がいい!続編出ないかしら。
birthday-energy.co.jp/
ってサイトは西條さんの本質にまで踏み込んでましたよ。彼女の才能は伝統性・歴史。なので、時代小説だったりお婆ちゃんだったりするそうですよ。今後に期待です!
投稿: 絵筆 | 2013/11/02 00:44