東野圭吾/疾風ロンド
いきなり文庫シリーズ第2弾。
大学の研究室から盗み出され雪山のどこかに隠された生物兵器を探す話。
面白かった。
盗んで大学を脅迫した犯人がいきなり冒頭で事故死してしまうという意表をつく展開で、犯人との交渉は抜きで探しものに集中出来る設定にしてるところが上手い。
途中ちょっともたつくけど、後半はどんどんスピードアップ。
探しものを横取りしてスキーで逃げる便乗犯とそれを追いかける探しものチームの千晶がスノボで並走しながらのチャンバラ(想像が追いつかない!そんなこと出来るの?(^^;)シーンあたりからちょっとギャグっぽい要素も入ってきて、ラストのオチも笑えたw
主人公(?)の大学の研究員の栗林の情けなさも絶妙。
独善的な上司と良心の呵責の板挟みになってオロオロしてる感じがよかった。
あれで「オレが、オレが」のタイプだったらあんなにみんなで協力して、の話にはならなかったんだろうね。
でもその半面、肝心なところではけっこう上手く嘘を交えたり、息子のゲレンデでの恋にチャチャを入れたりするちゃっかりした部分もあって、その加減が上手いと思った。
最後に主導権を息子の秀人に握られた栗林が、まだまだ子どもだと思っていた秀人とどんな話をしてどんな結論を出すのか知りたいな。
全体的に軽めな内容なので「いつもと違ってガッカリ」的な感想もあるみたいだけど、私はその軽さも含めて楽しく読めた。
実際問題として考えれば、本当にこんな事件が起こってこんな対応が取られたらいくら担当者が「いい人」であっても許せないだろうけどね。
まあ、そこはエンタメ作品ということで。
前作(『白銀ジャック』)と同様スキー場での事件+登場人物も前作で出てきた根津と千晶中心の話なので最初のほうは「あれ?間違って買ったかな?」と思って表紙を見直してしまった(^^;
今後もこのシリーズはこの組み合わせパターンになっていくのかな?
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント