ミステリー文学資料館・編/古書ミステリー倶楽部
古書を題材にした短編ミステリーアンソロジー。
執筆陣は松本清張、城昌幸、甲賀三郎、戸板康二、石沢英太郎、梶山季之、出久根達郎、早見裕二、都筑道夫、野呂邦暢、紀田順一郎、仁木悦子の各氏+江戸川乱歩による口絵。
古い作品から比較的新しい作品まで、また古書に対するアプローチも様々で楽しめた。
なかでも戸板さんの「はんにん」、梶山さんの「水無月十三么九(シーサンヤオチュー)」、早見さんの「終夜図書館」、都筑さんの「署名本が死につながる」がよかった。
早見さんの作品は初めて読んだけど、センテンスがすごく長くてビックリ。
出だしから19行が全部繋がっている文章、そのあともそういった長い文章が続くのでページにぎっしり活字が並んでいて圧巻。
これはこの作品だけの特別な書き方だったのかな。
最初はかなり読みにくかったけど内容の面白さもあってだんだん気にならなくなっていった。
ジュニア小説好きで自らも作家の一人である主人公と、終夜図書館という不思議な施設の館長によって語られるジュニア小説の歴史がマニアックで面白かったし「終夜図書館」という発想も斬新だった。
都筑さんの作品は探偵役の怪しいアメリカ人キリオンがよかった。
彼を主人公にした作品集があるらしいので今度探してみよう。
梶山さんのは以前読んだ『せどり男爵数奇譚』に入っていた「人間の皮膚で装丁した本を作る」話。
内容はグロいけど淡々と書いてあって読みやすかった。
<収録作品>
口絵:江戸川乱歩 / 二冊の同じ本:松本清張 / 怪奇製造人:城昌幸 / 焦げた聖書:甲賀三郎 / はんにん:戸板康二 / 献本:石沢英太郎 / 無月十三么九:梶山季之 / 神かくし:出久根達郎 / 終夜図書館:早見裕司 / 署名本が死につながる:都筑道夫 / 若い沙漠:野呂邦暢 / 展覧会の客:紀田順一郎 / 倉の中の実験:仁木悦子
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