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2014年1月の10件の記事

2014/01/26

千早茜/あやかし草子 みやこのおはなし

あやかし草子 みやこのおはなし

京都に伝わる民話・伝説をベースに人間と異世界に住むものたちの関わりを描いた短篇集。

物語の内容にあった丁寧で柔らかい文章が心地よかった。
全体的に「無常」を感じさせる物語が多かったかな。
人とあやかしとの距離感が独特で印象的。

シンとした静けさを纏った物語はどれもよかったけど、中でも古ムジナが「人」とは何かを知るために山奥の村に打ち捨てられた寺の住職となり人と交わって暮らす「ムジナ和尚」、天狗の頭目「梁星」と大臣の娘である姫との交流を描く「天つ姫」、古くから続く織屋に住むあやかしを扱った「機尋」が好きだった。

元になったお話もいつか機会があったら読んでみたいな。

<収録作品>
鬼の笛 / ムジナ和尚 / 天つ姫 / 真向きの龍 / 青竹に庵る / 機尋

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2014/01/25

三上延/ビブリア古書堂の事件手帖<5>~栞子さんと繋がりの時~

ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)

シリーズ5作目。久々の新刊。
前作は長編から今回はまた元に戻って一話完結の連作短編。

相変わらず読みやすいし面白かった。
特に手塚治虫の『ブラック・ジャック』を題材にした2話目がよかったな。
娘を失った母親の後悔の言葉が胸に迫った。

栞子を中心にした全体的な関係性は思ったほど劇的な進展はなかったけど、それでも少しずつ確実に変化しているのが感じられた。
ずっと抱えていた懸念を告白した栞子に対する大輔の反応がよかったな~。それを自然に口に出せちゃうアンタは凄い!と思ったw
こんなヤツだからこそ栞子は惹かれたんだろうね。

で、いい雰囲気になるかな~と思ったところで新たな懸念材料が。どうなる次回!というエンディングも上手い。
次回も楽しみ。出来れば早めにお願いします。

「作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。もしこの世界にあるものが現実だけだったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる……現実を実り多いものにするために、私たちは物語を読むんです。きっとあなたのお父様もそうなさってます」(p186)

<収録作品>
プロローグ:リチャード・ブローティガン「愛の行方」 / 第一話:「彷書月刊」 / 第二話:手塚治虫「ブラック・ジャック」 / 第三話:寺山修司「われに五月を」 / エピローグ:リチャード・ブローティガン「愛の行方」

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東川篤哉/謎解きはディナーのあとで 2

謎解きはディナーのあとで 2

シリーズ2作目。

よ、ようやく読み終わった(>_<)
前作はもっと楽に読めた気がしたので気軽に読み始めたら、今回は予想外の難行苦行。
謎解き自体はけっこう面白かったんだけど、登場人物、特に女性陣の話し方が全然好みに合わなくてそういうシーンが出てくるたびにイライラして仕方なかった。
お金持ちの妙齢の女性が殆どなのにみんな喋り方が小学生男子かオッサンみたいなのは何故?
もうちょっとその立場にふさわしい喋り方があるんじゃないのかなあ。
それも男性にはあまりそういうことを感じなくて、女性ばかりだというのは「何か女性に恨みでもあるんですか?」と思いたくなるくらいだった。
まあ、主人公の超お嬢様である麗子からして「○○だっつーの!」とか叫んでばかりいるわけだから仕方ないか。

風祭と麗子とのやり取りもどこが面白いのかさっぱり判らず。
それに比べれば麗子と影山との会話のが数段マシだったな。

ということでこのシリーズはもういいや。

<収録作品>
アリバイをご所望でございますか / 殺しの際は帽子をお忘れなく / 殺意のパーティにようこそ / 聖なる夜に密室はいかが / 髪は殺人犯の命でございます / 完全な密室などございません

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2014/01/22

高井忍/本能寺遊戯(ゲーム)

本能寺遊戯

初心者向けの歴史雑誌の懸賞レポートに応募するために3人の女子高校生がテーマである歴史の謎解きをする話。

連作短編集。
テーマとなるのは「本能寺の変」「ヤマトタケルの生涯」「春日局の真実」「称徳天皇と道鏡の関係」。

タイトルと表紙絵からもうちょっとライトな内容かと思ったらかなりガチな歴史検証モノ。
私のようなテキトーな歴史好きには敷居が高かった(^^;

人名、年号、地名がどんどん出てくるので、何がどうなってるのかさっぱり判らず。
読んでも絵が想像できない話は苦手なのよね。
読んでる間も理解できていないので、読んだそばから内容がボロボロ零れていくような状態だった。
そういう意味で、最後に編集者が語る「読者が求めている歴史」についてのくだりはまさにその通り、という感じ。
唯一、最後に誰が賞を獲るかのオチだけは判りやすかったw

しかし、こんな話を資料もなしに放課後の教室や甘味処やお好み焼き屋さんで繰り広げる女子高生ってどうなのw
友だちにはなれないタイプだわ~。
でも考えてみればゲームとかアニメとかマンガなら何も見ずに設定や登場人物の話を延々と出来たりするのは何となく理解できるから、ただその対象が違うだけで同じことなのかな。

それにしても前読んだ作品(『漂流巌流島』)はもうちょっと分かりやすかったような気がするのになあ。
私の理解力が落ちたのかしら(T_T)

<収録作品>
本能寺遊戯(ゲーム) / 聖剣パズル / 大奥番外編(イレギュラー・ケース) / 女帝(エンプレス)大作戦 / 『編集部日誌』より

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2014/01/14

三木笙子/金木犀二十四区

金木犀二十四区

かつての支配者が園芸を愛し、それに応えてそこに住まう諸侯たちが数々の庭園を作ったため現在でも「花の都」と呼ばれる東都。
その首都である二十三区から少し離れたところにその町はあった。
樹齢千二百年の金木犀がご神木の神社を擁し「金木犀二十四区」と通称される小さな町で祖母と2人花屋を営む青年・秋。
ある日、店に山伏の修行をしているという青年・岳志がやってくる。
岳志の目的は「天狗を退治すること」だった-。

残念ながら今ひとつ。

前半は面白かった。
秋と岳史、そしてあとからやってきた陰陽師の流れをくむ天文学者・敦志も加わっての噛み合ってるのかいないのか分からないような微妙なやり取りとか、二十四区の穏やかな町の様子とか。
そこで起きる事件とその謎解きも物語にふさわしく無理のないものであったと思う。

ところが後半も同じように進むのかと思ったら急に雰囲気が変わってしまい、その雰囲気に馴染めないまま終わってしまった印象。
後半出てきた敵役の大倉のキャラがどうしても好きになれなかった。
加えて内容にあまり説得力がなかったのも原因かも。
もともと三木さんの作品って会話で話が進んでいくという印象が強かったけど、この作品はその傾向が更に顕著だったように思う。
それなのに、その内容に説得力がないのでは話が上手くまとまるはずはない、というか。
だって、人ひとりをどうにかしようとしてるのに、あんな口先だけの話で納得させられるとは思えないんだけど。
「証拠がない」のはお互い様じゃないの?としか思えなくて、全然共感出来なかった。
なので、それに動揺しちゃう秋たち、特に冷静で情報に強そうな敦志までその口車に乗せられそうになることがどうしても納得できなかったんだよねえ。

まあ、もちろん指摘されてる本人には切り札があったからそれを回避出来たわけだけど、その切り札にしても彼にとって(読者にとっても)気分のいいものではなかったのもマイナスポイント。
そういう事情はあるんだろうけど、あの態度はないんじゃないのかなあ。
一瞬でも彼を思う気持ちが表現されていて欲しかった。

それに秋のおばあちゃんの存在がちょっと中途半端だったのも気になった。
何をどこまで知っているのか、あるいは知らないのかが判然としない存在。
なので何となく最後に活躍してくれるのかと思ったら、そうでもなく最後まで判然としないまま終わってしまったのはどういうこと。
あの秋の窮地にこそ、おばあちゃんが出てくるべきじゃないの?と思ったんだけど。

秋の持つ「靡」という特質も結局は何に由来するものなのか、どのくらいの能力なのか曖昧なまま終わってしまったしねえ。

ファンタジーのふんわりした部分と、現実的なドロドロしてる部分が上手く融合できてなかったような気がする。
舞台設定、人物設定はよかったので非常に残念。

個人的には敦志とおばあちゃんは最初から全部知っていて、最後はこの2人が全面解決するという展開で読みたかったな。

ところで樹齢1200年の金木犀ってホントにあるんですねえ(・・;)
静岡県三島市の三嶋大社
花の盛りにはどんな香りがするんだろう。
一度見てみたいな。

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2014/01/13

七河迦南/空耳の森

空耳の森 (ミステリ・フロンティア)

表題作をはじめとした短篇集。

1つ1つ別々の話のようでありながら、少しずつ登場人物や設定がリンクして行く構成。
敢えて関係性をぼかして書いてあったこともあり、ボンヤリの私は最後の表題作まで来て「あ、これは七海学園の話だったのね!」と気づいた次第(^^;
続編ではあるけど、これはこれで1つのまとまりとして成立している作品集だった。

明確な事件が起きて謎解きをするような内容ではなく、全体が曖昧なまま物語を進めて読者のミスリーディングを誘い最後でそれを逆転してみせる手法の作品が多かった。
ちょっとスリリングな日常の謎といった感じ。
前に読んだ『アルバトロスは羽ばたかない』もそうした手法だったので、作者さんお得意の書き方なのかな。
でも、そうするだけあって丁寧で緻密な文章でするりと違う道に誘ってゆく巧みさと、最後にその間違い、勘違いの謎が次々と解き明かされていく意外性が面白かった。

ただ、『アルバトロス~』を読んだ時も感じたけど登場人物が多くて見分けが難しかったり、設定に対する描写が細かすぎる部分がちょっと辛かったかな。
でも全体的に面白く、グイグイ引き込まれて面白く読めたし、希望のある明るいラストもよかった。

<収録作品>
冷たいホットライン / アイランド / It's only love / 悲しみの子 / さよならシンデレラ / 桜前線 / 晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない) / 発音されない文字 / 空耳の森

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2014/01/12

神護かずみ/人魚呪

人魚呪

戦国の世。
魚のような顔、腕に生じた鱗のようなあざにより「魚人」と村人に蔑まれ村八分にされていた親子。
その父の死に際の願いを叶えるために普段は行かない洞に向かった佐吉はそこで美しい人魚と出会う。
マナと名づけたその人魚といつしか愛し合うようになるが-。

人魚の肉を食べて不老不死になった男とその男を利用して金儲けを企んだ男の行く末、といった話。

読みやすくはあったけど、内容的には今ひとつ。
「不老不死」という現象が佐吉の精神にほとんど何の影響も及ぼしていないというのがちょっと納得いかなかった。
確かに佐吉が不老不死になったのは一時的な怒りの爆発によるもので何の覚悟も考えもなかったけど、その後それ以前とは環境が大きく変わったわけだから佐吉もそれに影響されて彼自身に何らかの「変化」があってしかるべきなのでは。
設定としてはそんなに頭が悪いわけでもなさそうなのに終始流される設定だったのが気になった。
あと、登場人物がみんな碌でもないヤツばっかりで感情移入出来る人がいなかったのも大きかったかな。

後半に中国攻め直前の信長を配したことや、ラストで佐吉を「悟る」どころか不死のまま永遠に「呪」を吐き続ける存在にしたのは面白かった。

イラストレーターの山田緑さんによる表紙絵は不気味だけど流麗な線が美しくて印象的。

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三木笙子/竜の雨降る探偵社

竜の雨降る探偵社

神主を務めていた神社が湖の干拓事業により姿を消すため廃業して東京で探偵社を始めた櫂(かい)と、その幼なじみの慎吾が事務所に持ち込まれる謎を解く連作ミステリー。

ミステリーとしては日常の謎系のライトな感じ。物語の主眼は櫂と慎吾の関係性。
実は慎吾は干拓事業を推進している建設会社の社長の息子という立場で、櫂から湖を奪ったことに対してずっと引け目を感じている。
だから暇でもない身なのにしょっちゅう事務所に顔を出しては事件に巻き込まれていく、という設定。
この2人の設定がなかなかよかった。

その関係が話が進む中で少しずつ明確になっていき、最終話 「月下の氷湖」で「実は…」と真相が明らかになる展開。
この最後の話がとてもよくて、ラストの櫂の慎吾に対する想いを読んで思わず泣いてしまった。
ただ、このラストで重要な役割を果たす、「櫂がいた神社の隣の湖の神社の神主の娘である美少女・真澄」の登場がちょっと唐突だったのが残念。
もうちょっと前からその存在が(話の中だけでも)チラチラ出てきたほうがよかったのでは。

事件の方は内容がライトなわりに設定が複雑で説明も会話の中が多かったので途中分かりにくい部分もあったけど、全体的には文章も読みやすく読後感もよかった。

あと、第三話に前シリーズの礼くんの消息が出てきたのが嬉しかった♪
この時点で礼くんは70代、相変わらずワガママで気まぐれな絵描きさんらしいw
謎解きに満足してくれたのかな?
でも、物語の中に出てきた「男性が描かれた雨の絵」「哀しみの象徴」という言葉が気になる。
彼のことなの?
続きが読みたいような、読みたくないような…。

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2014/01/11

梨木香歩/冬虫夏草

冬虫夏草

『家守綺譚』の続編。亡くなった高堂の家を守る綿貫が、いなくなった飼い犬のゴローを探して鈴鹿山系を訪ね歩く話。

すごく良かった。
綿貫が行く先々で出会う土地の人々との関わり、その中で語られる風習や言い伝え。人ならざる者との出会い。彼らが綿貫に示す気遣いと厚情。
静謐な澄んだ空気の山の中で営まれる人々の暮らしが、丁寧で静かな筆致で描かれていて胸に迫った。
特に土地の人々が人ならざるモノたちの存在もそのまま受け入れて、同じ命あるものとして共に生きている様が自然に描かれているのがとてもよかった。
この旅は日々家に居てあまり人と交わらず書物からの知識を糧に物書きの仕事をこなしている綿貫に対するゴローからの贈り物だったのかもしれない。

それにしてもゴローのリア充っぷりが素晴らしい。
どこで聞いてもみんなが「ああ、あの…」と気づいてくれる犬って…(笑)
話の中で実際に姿を見せる部分は殆どないのに、すごくゴローの存在感に溢れた物語だった。

体躯は大きからず小さからず、色は茶。尻尾はふさふさとして目元涼しく、人を見て恐れず、それを侮らず、己が必要とされれば役割に応えんと誠実の限りをつくす。与えられぬものを盗ろうとせず、与えられたものでも、必要とする者があらば、そちらへ譲ろうとする。威張らず、威嚇せず、平和を好むが、守るべきものがあれば雄々しく立ち向かう。友情に篤く、その献身はかけがえがない。(p134)

旅の途中で会った老人にゴローの人となりを説明する綿貫のことば。
「こんな人に私はなりたい」…といった感じの素晴らしさ。
でも、(半分ヤマメが目当てだったとしても)仕事を放り出して山の中を何日も探し歩いてくれる綿貫だから、ゴローも一緒にいるんだろうな。
いつまでも2人で幸せにくらして欲しい。

各章のタイトルに植物の名前がついていて、その植物が登場する話になっているのも雰囲気があってよかった。
聞いたことも見たこともない名前もたくさんあったのでネットで検索しながら読むのも楽しかった。

「キキョウ」の章(蒟蒻屋さんのおばあさんの話)が特によかった。
人が人を思いやる気持ちが溢れ出てくるような内容だった。
読みながら泣いてしまった。

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2014/01/05

時代小説アンソロジー 冬ごもり

冬ごもり  時代小説アンソロジー (角川文庫)

タイトルどおり「冬」をテーマ(舞台)にした時代小説のアンソロジー。
最初の2編(池波正太郎「正月四日の客」、宮部みゆき「鬼子母火」)はよかったけど、他の4作は残念ながら今ひとつ。
作品の出来云々ではなくイメージしていた「冬」とは違ったという意味で。
もっと町民の年末やお正月の生活に密着した話が読めるのかなと思っていたので。

でも松本清張の時代物とか、宇江佐真理の武家物とか普段あまり読めないタイプの作品を持ってきてるのは面白かった。

<収録作品>
池波正太郎:正月四日の客 / 宮部みゆき:鬼子母火 / 松本清張:甲府在番 / 南原幹雄:留場の五郎次 / 宇江佐真理:出奔 / 山本一力:永代橋帰帆

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