神護かずみ/人魚呪
戦国の世。
魚のような顔、腕に生じた鱗のようなあざにより「魚人」と村人に蔑まれ村八分にされていた親子。
その父の死に際の願いを叶えるために普段は行かない洞に向かった佐吉はそこで美しい人魚と出会う。
マナと名づけたその人魚といつしか愛し合うようになるが-。
人魚の肉を食べて不老不死になった男とその男を利用して金儲けを企んだ男の行く末、といった話。
読みやすくはあったけど、内容的には今ひとつ。
「不老不死」という現象が佐吉の精神にほとんど何の影響も及ぼしていないというのがちょっと納得いかなかった。
確かに佐吉が不老不死になったのは一時的な怒りの爆発によるもので何の覚悟も考えもなかったけど、その後それ以前とは環境が大きく変わったわけだから佐吉もそれに影響されて彼自身に何らかの「変化」があってしかるべきなのでは。
設定としてはそんなに頭が悪いわけでもなさそうなのに終始流される設定だったのが気になった。
あと、登場人物がみんな碌でもないヤツばっかりで感情移入出来る人がいなかったのも大きかったかな。
後半に中国攻め直前の信長を配したことや、ラストで佐吉を「悟る」どころか不死のまま永遠に「呪」を吐き続ける存在にしたのは面白かった。
イラストレーターの山田緑さんによる表紙絵は不気味だけど流麗な線が美しくて印象的。
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