東野圭吾/マスカレード・ホテル
連続殺人の現場に残されたメッセージから次の犯行現場を都内のシティホテルと考えた警察は、犯人逮捕のために刑事をホテルの従業員として潜り込ませることになる-。
長編ミステリー。面白かった。
一気に読ませる文章力と展開の巧さ、さらに話題の豊富さが際立つ。
物語はフロント・クラークに扮して捜査に当たることになった新田とホテル側の人間として彼を指導する立場になった入社10年目の尚美を中心に進んでいく。
冒頭、部屋にクレームを付けた客への尚美の対応が数ページ描かれるが、既にここで尚美の立場、思考、信念などがサラリと、しかし非常に的確かつ印象的に描かれていて秀逸。
その他にも尚美の口から語られるホテルで起きた様々な出来事が非常に興味深かった。しかもそれがただの薀蓄ではなく事件解決の伏線ともなっている部分もあるのがうまい。
事件については誰が誰を狙っているかなど主な目的が分からないまま進むので、一瞬も目を離せない緊張感があり先が気になって一気に読んでしまった。
当初は立場や考え方の違いから反発していた新田と尚美の関係が、捜査の進行に伴って変化していく様子も丁寧に描かれ説得力がある。
正直、新田のホテルマンとしての仕事ぶりは出来過ぎじゃないの?と思える部分があったけど「いつまでも使えない人」じゃ話が進まないから仕方ないんだろうね。
犯人が姿を表してからの展開はそれ以前の緊張感に比べるとちょっと弛緩してしまう部分もあったけど、全体として非常に面白く満足できる作品だった。
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