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2014/02/01

光瀬龍/多聞寺討伐

多聞寺討伐 (扶桑社文庫)

時代SFという不思議なカテゴリ。
時代(歴史)小説の中にSF設定があるという構成の短篇集。
実際に書き残された文書の不思議な記述をSF的に解釈して構成した作品と、それぞれの時代に潜んでいるタイムパトロールが密航者を捕らえる作品の2つのパターンが中心。

読むのに時間は掛かったけど面白かった♪
未来設定のSFだと話が難しすぎて何が書いてあるのかわからないままになってしまうことが多いけど、これはSFでも江戸時代を舞台にしているので普通の時代小説と同じ感じで楽しめた。
何より時代物の部分の書き方が上手かったのが大きい。
町民や岡っ引き、同心など事件に巻き込まれていくもの、事件を追うものの言動が他の時代小説と遜色ない雰囲気で描かれていて読みやすかったし、またそれらの登場人物たちがその時代にはあり得ない不思議な現象に巻き込まれていく違和感を際立たせていた。

ただ、やっぱりSF的な描写になってしまうと書かれている文章に対する想像が追いつかなくなってしまい何が起きているのか判らずに終わってしまうこともあった。
特に表題作の「多聞寺討伐」はその傾向が強かったかな。

未来と現代と過去を繋いだ「歌麿さま参る」が一番好きだった。
これってシリーズだったりするのかな?3人の活躍がもっと読みたい。

<収録作品>
追う 徳二郎捕物帳 / 弘安四年 / 雑司ヶ谷めくらまし / 餌鳥夜草子 / 多聞寺討伐 / 紺屋町御用聞異聞 / 大江戸打首異聞 / 三浦縦横斎異聞 / 瑞聖寺異聞 / 天の空舟忌記 / 歌麿さま参る 笙子夜噺

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