清水義範/愛と日本語の惑乱
清水さんお得意の言葉についての考察と恋愛小説を組み合わせた異色作。
主人公はそこそこ売れている中堅のコピーライター。
言葉を扱うプロとしてTV局の放送用語委員会に参加したり、業界紙に掲載していたエッセイを本にする企画が進んでいたりするその中で主人公が覚える言葉についての違和感と、付き合って2年になる有名女優との恋愛模様が描かれていく。
わりと全体的に真面目なモードで進むので期待していた「笑い」の要素が少なめだったのは残念だったけど、普段は見逃しがちな日本語の曖昧さあるいは変な厳格さを言及している部分は面白く読んだ。
ただ、恋愛小説にする必要があったのかどうかは私にはよく判らなかったな。
日本語学者 金水敏(きんすい さとし)氏による解説も分かりやすく、これを読んで「そういうことが書いてあったのか」と気づいた部分もあった。
ちなみにダジャレとか語呂合わせが好きな人というのは「脳の中で似た言葉を探す作業に快感があって止められなくなっている状態」なんだって。
この状態のことを「フェルスター症候群」というそうな。
これ→ http://en.wikipedia.org/wiki/Foerster%7s_syndrome… みたいだけど英語なのでよく分からない。
あとチョムスキーによる「人間はすべての言語を話すことが出来る能力を予め持って生まれてくる」という話も興味深かった。
『つまり言語は本人の努力の結果生じるのではなくて、言語の元になる能力、すなわち言語知識の原形がすでに脳に存在しているんだということです』(p192)
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