竹内真/図書室のキリギリス
バツイチの詩織が友人の紹介で高校の学校司書として働き始める話。
面白かった。
本にまつわる日常の謎系ミステリーかと思って読み始めたので、最初は「謎らしきものは出てくるけどやけにアッサリしてるな」とちょっと物足りない印象だった。
でも読み進めるうちに謎解きはこの作品の単なるアクセントに過ぎないことが分かって来た。
その先に語られるのは「学校司書」という仕事に楽しさ、やりがいを感じ始める詩織と本との出会いで変わっていく生徒たちの姿。
それがとても生き生きと描かれていて楽しく読めた。
実際にある本や作品が多数、魅力的に紹介されているのもよかった。
ただ、詩織の能力の件や元ダンナとのこと(特に領土問題のところ)とか、永田さんが誰と付き合ってたかの話あたりはいらなかったんじゃ…とも思う。
とは言え、ラストも明るく前向きな終わり方で読後感も○。
ただ、いくら前向きになったといって詩織の待遇が改善されることはなさそうなので、契約が切れる時期になったら詩織も永田さんと同じ不満を抱くんじゃないか…という懸念は拭い切れない。
本に関わる仕事へのやりがいと同時に生活の安定の問題でもあるわけだし。
その時も詩織はこのラストのような気持ちを持ち続けていられるんだろうか。
そう考えると「面白かった」で終わらせてしまうにはちょっとお気楽すぎるエンディングなのかもしれない。
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