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2014年5月の9件の記事

2014/05/31

荒山徹/長州シックス 夢をかなえた白熊

長州シックス 夢をかなえた白熊

長州藩の欧州遠征に参加したのは5人ではなく6人だった、という内容の表題作始め、いずれも幕末~維新を舞台にした短篇5篇を収録。

冒頭の表題作と最後の天誅組を扱った「ファイブ・アーティクルズ 維新の魁」は面白かったけどそれ以外はイマイチ。
特に「シュニィユ 軍神ひょっとこ葉武太郎伝」はタイトルからして「ゴメンナサイ」な感じだった。
「長州シックス」もタイトルや表紙の印象と内容がずれていたので「あれ?」という気がしたけど、その後これを読んだらまだまともな展開だと思えた。

別に真面目いっぽうの作品だけを読みたいわけではないけど、ダジャレで名付けとかあんまり好きじゃないな。

それと時代背景は全編同じだけど、作風としてはかなりバラバラで全体的に「なんでこれとこれ一緒にしたかな?」という印象だった。

最後の「ファイブ・アーティクルズ 維新の魁」は公家の出身でありながら天誅組の大将となった19歳の中山忠光が魅力的。
ちょっとかっこよく書かれすぎという気もするけど、敗走の途中でも仲間を信じる気持ちを失わず寄せ集めの志士たちの先頭に立って進む姿は感動的だった。
彼についての他の作品も読んでみたくなった。

<収録作品>
長州シックス 夢をかなえた白熊 / ウルトラ・ダラー 幕末英語教育事始 / シュニィユ 軍神ひょっとこ葉武太郎伝 / トゥ・バ・ビヤン 腰撫で襦袢伝奇 / ファイブ・アーティクルズ 維新の魁

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2014/05/25

明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語

([ん]1-4)明日町こんぺいとう商店街: 招きうさぎと七軒の物語 (ポプラ文庫)

東京スカイツリーの近くにある下町の小さな商店街を舞台にしたアンソロジー。
執筆陣は大島真寿美、大山淳子、彩瀬まる、千早茜、松村栄子、吉川トリコ、中島京子の各氏。

冒頭を飾る大島さんの「カフェスルス」がとにかく絶品!
60歳を目前にした女性3人が昔からの約束を思い出し、自分たちのカフェを開くまでの話。

昔は女優だったりゅんちゃん、その劇団の脚本を書いていたむうさん、そしてりゅんちゃんのファンだったピナちゃん。
出会ってから40年以上経った今でも昔のように呼び合う3人が自分たちの店を作って行く工程が生き生きと描かれていて、すごく楽しかった。
こんなお店が近くにあったら毎日通っちゃう、いやいや「働かせてください」って言っちゃうかも、というくらいの素敵さ。
こういうお友達と夢を持ったまま年を重ねて行く。
そしてそれをただの夢でなく実現させるだけの経験と知識や知恵、そして何より資金をきちんと準備してきて今に至る3人のバランスが気持ちよかった。

ただ、あまりにもこの作品がよかったために期待が必要以上に高くなってしまったのか他の作品については「あれ?」という印象だったのは痛し痒しというところ。
他にも彩瀬まるさんの「伊藤屋米店」とか千早茜さんの「チンドン屋」とかは単体で読めばけっこう好きな作品なんだけど。
「カフェスルス」でイメージした商店街のイメージとはちょっとズレていて、そこが修正できないまま読み終わってしまった印象。
大山さんの「あずかりやさん」は雰囲気は好きなんだけど、最後の荷物に入っていたものとそれを受け取った時の相沢さんの態度がうまく消化できなくてモヤモヤした読後感だった。

<収録作品>
大島真寿美:カフェスルス / 大山淳子:あずかりやさん / 彩瀬まる:伊藤米店 / 千早茜:チンドン屋 / 松村栄子:三波呉服店-2005- / 吉川トリコ:キッチン田中 / 中島京子:砂糖屋綿貫

同じ設定で2冊めも出てる模様。
こちらは藤谷治さん、安澄加奈さん、加藤千恵さん、大沼紀子さん、吉川トリコさん、あさのますみさんが参加。

カフェ・スルスのその後が読みたいなあと思うけど、あの物語はあそこで終わってるからいいのかも…。

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2014/05/19

神永学/確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム

確率捜査官 御子柴岳人    密室のゲーム (角川文庫)

取り調べ中のトラブルが原因で捜査一課から署内に新設された「特殊取調対策班」に異動させらせた女性刑事・友紀が、常識外れで我儘な言動を繰り返す大学の数学科准教授・御子柴と数値データや数学的理論を元に事件を解決する連作短編集。

うーん、微妙。
事件を解決する手法とか手順は面白かったけど、そこに至るまでの友紀と御子柴のやりとりが面倒臭すぎる。

御子柴が難しい話をさも当然のことのように言うのはキャラ的にいいんだけど、それに対する友紀の反応が鈍すぎて冗長すぎる。
友紀は御子柴の暴走を止めるストッパーの役と読者目線で物語を解説させる役目があってそれに基づく反応なんだろうけど、それにしても何も考えずに反論や疑問を口にし過ぎる気がする。
刑事ならもうちょっと状況を冷静に考えるとか過去の情報から類推するとかできるんじゃないのかな。
それに刑事なのに(だから?)反感や偏見を前面に出し過ぎているため言葉にまったく説得力がないし共感もできなかった。
(だからこそ御子柴に「バイアス女」と呼ばれてしまうわけだけれども)
しかも、その友紀をバカにしつつも御子柴は(不毛と思える)会話をけっこう楽しんでいる風に書いているところが更に「う~ん?」な感じなのよね。
これって前に読んだ『心霊探偵 八雲』と同じパターンだわ…。

変人で理系の大学准教授が謎を解く、という最近よく見かける設定だけど、この作品ではその範囲を「取調べ」という部分に集中させたのはうまいと思う。
これで友紀のキャラが感情移入できればよかったんだけどなあ。

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2014/05/18

宮木あや子/校閲ガール

校閲ガール

ファッションが大好きで愛読のファッション誌の編集になるために出版社に入社したが、なんの興味もない文芸の校閲部に配属されてしまった入社2年目の主人公・悦子の仕事、恋、友情を描いた連作短編集。

面白かった!
悦子のキャラが魅力的。
ファッションが大好きでファッション誌こそが人生の教科書だと信じその雑誌に関わることに向かってまっしぐらに進んでいく悦子。
現在は不本意な部署にいるけど、それに腐ることなく自分の希望する場所にいくために完璧に仕事をこなしていく姿が清々しい。

その姿があるからこそ、先輩や上司にタメ口なのも、担当作家にまで態度が偉そうなのも下品には見えない。
さらに読み進めていくうちに自分を客観的に見据える頭の良さや素直さ、また意外に人情家で他人にやさしい部分も見えてきてどんどん好きになっていた。
悦子の同僚や友人、恋の相手もみんな個性だけど悪目立ちすることはなく、きちんとそれぞれの役割を果たしていて読みやすい。

悦子が巻き込まれる騒動も物語の雰囲気にあっていたし「校閲」という仕事に絡めた謎解きも面白く、最後まで楽しく読めた。

悦子の恋の行方も気になるのでぜひシリーズ化してほしいなあ。

茶谷怜花さんイラストの表紙もポップで可愛い♪

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2014/05/12

宮部みゆき/泣き童子 三島屋変調百物語参之続

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

シリーズ3作目。

相変わらず読みやすいし、描写も丁寧かつ繊細で読みながら泣いてしまったところもいくつもあったんだけど、今ひとつどっぷり浸ることが出来なかった。
なんていうか…気持ちはいいけどちょっとツボからずれてる感じ。
何故だろう。

一番好きだったのは「小雪舞う日の怪談語り」の両国橋のシーン。
ああいう何気ないシーンを丁寧に書いてくれるのがすごく染みる。

あと、違う意味で印象的だったのは「まぐる笛」。
宮部さんの文章って読むと文字じゃなくていきなり映像で頭に入ってくるくらい再現性が高いのにここに出てくる「まぐる」という生き物は説明を読んでも全くイメージ出来なかった。
多分、イメージ出来ないように書いたんだと思うけど、それが出来てしまうのが凄いと思った。

その他、前2作の内容を忘れすぎていて話が見えない部分がいくつか。出来れば読み返したいところ。

読メの感想読むと「怖かった」というのが多かったけど、そんなに怖さも感じなかったなあ。
ただ、私は怖いのが苦手なので、怖い話を読むときは自動的に「怖い」と感じる部分を閉じちゃう傾向があるので、今回もそうだったのかも。

<収録作品>
魂取の池 / くりから御殿 / 泣き童子 / 小雪舞う日の怪談語り / まぐる笛 / 節気顔

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2014/05/11

松岡圭祐/万能鑑定士Qの事件簿IX

万能鑑定士Qの事件簿IX (角川文庫)

松岡さんの作品も、もちろんシリーズも初読み。
(なのにいきなり最新刊からw)

37年ぶりに日本で公開されることになった「モナ・リザ」展の臨時スタッフに抜擢された主人公・莉子。
開催に向けて特別な研修が実施されるが、その裏にはある陰謀が隠されていた。

面白かった!
初読の私でもスムーズに登場人物の設定や関係を把握できる丁寧かつ簡潔な描写が魅力的。
特に莉子の持つ能力の描写が楽しかったし、加えて美術品に関する専門的な部分も分かりやすく読みやすかった。

物語の展開も上手い。
物語の後半まで悪人も登場せずスムーズに進むので「もしかして何も起こらず終わるの?」と心配になったけど、蓋を開けてみたら「もうそんなところから始まっていたのか!」という展開。
そのために配置された伏線もさり気なく、でも印象的で説得力があった。

最後、犯人側の各登場人物に対する対応の違いにも配慮が行き届いていて最後まで気持よく読むことが出来た。

もうすぐ映画化作品が公開とのこと。
私が読んだ限りでは莉子(綾瀬はるか)や小笠原(松坂桃李)のキャスティングも合っていると思う。
原作を裏切らない作品に仕上がっていることを期待したい。

すごく気に入ったので既刊も読もう!楽しみ(^^)

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2014/05/10

森谷明子/望月のあと 覚書源氏物語『若菜』

望月のあと (覚書源氏物語『若菜』)

『千年の黙』から始まるシリーズ3作目。

面白かった。
最初開いた時は2段組だったので「大丈夫かな?」とちょっと不安だったけど、読み始めたらどんどん引き込まれて一気に読み終わってしまった。

今回のテーマは「玉鬘」と「若菜」。
作者の式部が何を参考に、どんな思いを込めてこれらの物語を綴っていったのか、彼女の周囲、特に時の権力者であり「光源氏のモデル」とも言われる藤原道長の動向を中心に語られる展開。
どちらも読み応えがあったけど、特に「玉鬘」がよかった。
まさかあんな策略があの物語に隠されていたとは!(笑)

美しい異母妹の忘れ形見を手に入れてワクワクソワソワする道長の様子も可笑しかったし、何より当の瑠璃姫の人物設定がとてもよかった。

それに対して「若菜」は政治絡みの重たい話。
最初のほう展開が読めずにちょっと戸惑ったし哀しい場面もあったけど、最後は笑顔のエンディングでほっとした。

まだシリーズは続く(予定)みたいなので、今後の展開も楽しみ。

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2014/05/08

アンドレーア・ケルバーケル/小さな本の数奇な運命

小さな本の数奇な運命 (シリーズ愛書・探書・蔵書)

出版されて60年を経たある1冊の本が、古本屋の棚の中で次の持ち主を待ちながら自分の過去を振り返る…という話。

ちょっと前に読んだ『図書室のキリギリス』に出てきて面白そうと思って読んだけど、残念ながら今ひとつだった。
70ページしかない作品なのに文章に違和感があってなかなか進まず読み終わるのに1週間くらいかかった。
特に冒頭の数ページ、読点が多すぎてブツブツ切れる文章が読みにくかった。
表現もけっこう観念的で分かりにくいし。

古本屋に並んだ本が主人公の物語という設定は面白いと思うんだけどな。
なんか「ブンガクテキ」すぎて、私には難しかった。

翻訳本の場合、この「読みにくさ」とか「自分に合わない感じ」がその本が本来持つものなのか、それとも間に入る翻訳のせいなのか判断できないところがもどかしい。

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2014/05/06

久美沙織/あけめやみ とじめやみ

あけめやみ とじめやみ (ハヤカワ文庫JA)

昭和62年('87年)発行のSF短篇集。

表題作は好き。
幻想的で、SFというより古代ファンタジー風。
雰囲気もストーリーもよかった。
あと、2つめの「OUT OF DATA」もシャープな雰囲気でけっこう好き。

でもそれ以外は残念ながらイマイチ。
理由は会話文の言葉の選び方がまったく好みに合わなかったから。
読んでるとイライラしてきて、ただでさえ苦手なSFのストーリーがまったく頭に入らなかった。
いい悪いではなく相性の問題だから仕方ないね。

ちなみに、何故今回27年も前の作品を読んだかというとタイトルの「あけめやみ とじめやみ」という言葉が時々パッと頭に浮かぶことがあったから。
最初は何かのことわざ的なものかと思ったけど、調べたらこれしかなかく昔読んだことあるのかな?と思ったので。
でも、読んでみてもまっっったく記憶になかったw
じゃあ、なんでタイトルだけ覚えていたのかなあ。
う~ん?(まあ「読んだけど忘れた」可能性も大だけどねw)

<収録作品>
あけめやみ とじめやみ / OUT OF DATA / 紙の舟 / きんぽうげ / サマー・ドレス / ドリーム・キャスター

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