石持浅海/人柱はミイラと出会う
人柱、お歯黒、参勤交代…そんな習慣が現在も当たり前に実生活に入り込んでいるというパラレルな日本の北海道を舞台にした連作短編ミステリー。
面白かった!
探偵役が「人柱職人」って、何ですかソレ、という感じwその発想力が素晴らしい。
物語世界に登場する「人柱」「お歯黒」「参勤交代」などの風習は、今の日本には(基本的に)残っていないけどたいていの日本人なら大まかな知識は持っているという内容。
これらのテーマの取り方も絶妙で巧い。
しかもそれらの風習の取り入れ方がいかにも理に適っていて、「確かに今でもそれが存在していたらそんなふうに活用されていたかも」って思わせられる部分があった。(特に黒衣とか鷹とか)
また、そのテーマを活かした上でミステリとしてもきちんと成立してるのがさすが。
謎解きのほうはいつもの石持作品同様、ちょっとした違和感をきっかけに博識で勘が鋭い探偵がどんどん解決していってしまうのでアッサリといえばアッサリだけど、私はこのスムーズさがけっこう好き。
探偵役の人柱職人・東郷は頭脳明晰、冷静で紳士的、包容力もある素敵なキャラ。
彼に好意を抱くアメリカからの留学生リリーやステイ先の一木家の人々など他の登場人物のキャラ設定もしっかりしていて楽しく読めた。
ラスト、リリーと共にアメリカに渡り異国の風習に触れた東郷が、日本での活躍とは裏腹に呆然と固まっているシーンで終わっているのも洒落ていた。
アメリカでの話でも、里帰りしてからの話でもいいから続きが読みたいな~。
<収録作品>
人柱はミイラと出会う / 黒衣は議場から消える / お歯黒は独身に似合わない / 厄年は怪我に注意 / 鷹は大空に舞う / ミョウガは心に効く薬 / 参勤交代は知事の努め
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