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2015年1月の10件の記事

2015/01/28

大倉崇裕/蜂に魅かれた容疑者 警視庁総務部動植物管理係

蜂に魅かれた容疑者 警視庁総務部動植物管理係

犯人に撃たれた頭の怪我が原因で捜査一課から総務課に配置換えになった強面の須藤警部補と人間以外の生き物にめっぽう詳しく異常な愛情を注ぐ部下の薄(うすき)巡査が動物がらみの事件の謎を解くシリーズ。

前作同様短篇集かなと思っていたけど今回は長編。
そして2人が追いかけるのは「蜂」。
(当然ながら)全編ずっと蜂の話。
2日でこんなに大量に「蜂」の字を目にしたことは今までなかったな(笑)
読んでるだけで背中がゾワゾワしてくる感じだった。

ストーリーはかなり込み入ってるけど、展開が早くて読みやすかった。
なかなか犯人の目指すところが見えないけど、それもまたうまく読者を先へ先へと引っ張る仕掛けになっていて飽きさせない面白さがあった。

ただ、前作の短編ではそんなに気にならなかった薄のキャラが長編だとちょっと、というかかなりクドくて途中でイライラすることが何度もあった。
事件自体がもうちょっと軽めだったらあのズレた会話も楽しめるけど、緊迫したシーンにはちょっと合わないなと。
でもあのキャラを取ったら薄はつまらなくなってしまうので難しいところ。

しかし、警察内部では誰からも相手にされていないのに、敵には評価されてるのが凄いな>薄ちゃん(笑)

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2015/01/26

森晶麿/かぜまち美術館の謎便り

かぜまち美術館の謎便り

寂れてゆく小さな町の美術館の館長として迎えられた学芸員の佐久間が町で起こる事件の謎を解く話。

うーん、ちょっと微妙。
つまらなかったわけではないけど、読み終わって素直に「面白かった!」と言えないモヤモヤが残る作品だった。

特にラストがね…なんなの、その設定という印象。
もちろん作中では「もともとそういう設定でした~!」ってことにはなってるし、読んでるこちらもうすうす「そうなんじゃないかな」と思ってもいたけど、いざその通りに持ってこられると「いやいやいや…」と思ってしまった。
(というか、「そうなんじゃないか」と匂わせる書き方をしていたのが逆に嫌だったのかも)
あれだけそういう方向に盛り上げておいてその終わり方じゃ読んでる方としては全然納得行かないでしょ、それ…って展開で最後にイラッとしてしまった。
あれだと佐久間がすごい自分勝手な嫌な奴にしか思えないんですが。
なんだかんだ言って自分の気持ち悪さを消化しに来たとしか思えない。
カホリはなんでそれで納得しちゃうかな~?って感じだな。

絵の解釈の話と料理の話はよかった。
ただ、ヒカリの絵の話はたくさん出てきたけど、結局のところ彼がどんな絵を描いていたのかがさっぱり判らなかったのが残念。
絵を文章で表現するのは難しいと思うけど。

佐久間の娘のかえでは可愛かったけど…ちょっとあざといかな。

あと、作中では触れられてなかったけど、町の主要行事である祭りの象徴・風車づくりはカホリの父・サブロー以外に誰かやってるんだろうか。
サブローがいなくなったら誰が風車を作るのか…それが気になった。

【収録作品】
きらわれもの / かたおもい / なきむしないえ / わになっておどる / あかいはなどんぶらこ / 風のかくれんぼ

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2015/01/21

岡本綺堂 / 半七捕物帳(初手柄編)

半七捕物帳 (初手柄編)

100年前に書かれた「捕物帳」の元祖(らしい)。
名前はもちろん知っていたけど、読むのは初めて。
いろいろなバージョン(集め方)があるみたいだけど、これは半七親分が初めて登場した「お文の魂」のほかはまだ若き日の半七の物語が収められている。

幼いころに叔父の友人である「Kのおじさん」から不思議な物語を聞いた新聞記者である「わたし」が、怪談話のようなその謎をきれいに解決した老人・半七に知己を得て過去の手柄話を聞く、という構成。
江戸と明治を行き交う感覚が新鮮で面白かった。

設定についての描写はすごく丁寧で臨場感があるけど、それに対して謎ときが意外にアッサリしている印象。
半七親分もサッと出てきて、サクッと解決してしまうので今回の作品ではイマイチ(親分本人の)魅力が伝わってこない感じ。
また年齢を重ねた時代の事件ならまた印象が違うかな。

実の娘が生まれたために家を出され、それを恨みながら死んでいった養女が幽霊となって裕福な店を取り潰す…という筋書きの「津の国屋」がなかなか凝った話で面白かった。

<収録作品>
お文の魂 / 石灯籠 / 熊の死骸 / 冬の金魚 / 津の国屋 / 広重と河獺

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2015/01/14

あさのあつこ/かわうそ お江戸恋語り。

かわうそ お江戸恋語り。

自分を心から大切にしてくれる家族と奉公人に囲まれながら何不自由なく生きてきたお八重が17歳で初めて知った恋の物語。

素性も自分への気持ちもわからないけれど忘れられない相手をただひたすらに思うお八重の心の動きが丁寧に描かれていた。
「恋しい人に会いたい」という気持ちのまま突っ走っていく部分もあるけど、それだけでなく家族やお店、そばにいる人たちのことを思い踏みとどまったり、他の男との縁談に乗ってみたり、でもやっぱり忘れられない、信じ続ける…というお八重の心の揺れの描写がすごくよかった。

ただ、そんなお八重の単純な恋物語ではないというところが、この作品のいいところでもあり、悪いところでもあるような気がするな。
全体の流れとしては悪くないけど、話がちょっと大きくなりすぎのような。
しかも最後の犯人像…。
確かに引き算していくとそうなるわけだけどなんとなく後味が悪かった。

あと、途中までお八重との対比で描かれていた、お八重付きの女中・おちかの存在が後半はお八重の後ろに隠れてしまったのも残念。
もっと前面に出して、おちかの目から見たお八重と「かわうそ」の物語も読みたかったな。
事件を追う仙五朗親分が渋くてよかった。

ところで、タイトル(副題)「お江戸恋語。」の「。」には何の意味があるの?

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2015/01/13

今野敏/晩夏―東京湾臨海署安積班

晩夏―東京湾臨海署安積班

安積班シリーズの長編。

新木場のクラブで殺人事件が発生。
その場にいた速水が参考人として事情聴取されることに。
一方安積は東京湾を漂泊していたクルーザー内で見つかった変死体の捜査に駆り出されていた。
やがて2つの事件に関連が見え始め-という話。

速水が容疑者になるって聞いてたのでもっと虐められる(誰に?(笑))のかと思ったらそんなことはなく、逆にいつも以上に自由に動きまわっていて(しかも安積と一緒に!)面白かった。
安積はいいヤツだけどちょっと考え過ぎだし慎重なので、一人でいると話が長くなるのが難点。
その点、速水はとにかく行動タイプなので、展開が速くなる。
この2人の緩急のバランスがとてもよかった。

更に優秀だけど考え方に問題ありの捜査一課の新人刑事を間に挟むことで、物語に変化と奥行きが生まれて面白く読めた。

しかし相変わらず全体の3分の2を過ぎても犯人が出てこないのね。
推理小説の感覚でつい「ホントに残りの枚数でちゃんと終わるの?」とか心配になってしまいました(笑)(ちゃんと終わってます)

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2015/01/12

梶よう子/宝の山 商い同心お調べ帖

宝の山 商い同心お調べ帖

江戸市中の物価を監視し取り締まる諸色調掛同心を主人公にした時代連作短篇集。

文章のテンポも全体的な雰囲気もよく楽しく読めた。
主人公の同心を町方ではなく諸色調掛にすることで江戸の人々の暮らしぶりをより鮮やかに描き出すことに成功していたと思う。

妹の忘れ形見である姪の多代を男手一つで育てている主人公の神人と食いしん坊でいつもお腹を空かしているけど計算が早く物知りな小者の庄太。
二人の噛み合っているようないないような掛け合いも楽しかった。

物語の導入部の丁寧さに比べて、最後の展開がちょっとあっけないという感じもするけど重くなるよりはいいのかな。
江戸の町の風物や当時のさまざまな商いの話が楽しいし、神人とお勢の今後も気になるので是非シリーズ化してほしい。

ただ主人公の名前、澤本神人(さわもと じんにん)っていうのはちょっと読みにくいし覚えにくいなあと思った。

【収録作品】
雪花菜(きらず) / 犬走り / 宝の山 / 鶴と亀 / 幾世餅 / 富士見酒 / 煙に巻く

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瀬那 和章/雪には雪のなりたい白さがある

雪には雪のなりたい白さがある

実在の4つの公園を舞台にした出会いと別れの物語。

初読みの作家さん。
タイトルが素敵だったので読んでみた。

しっとりした雰囲気の柔らかい文章。
登場人物たちの心理や公園の移りゆく季節を描く丁寧な描写。
とても読みやすい作品だった。

ただ、物語のテーマが得意分野ではなかったせいか、「あー、文章うまいなー」と思いつつツルーッと読み終わってしまったという印象もあり。
あくまでも相性の問題だと思うけど。
一話目ではちょっと泣かされたけど、これは設定がずるいと思う(^^;

登場する4つの公園のうち「港の見える丘公園」以外は西武線沿線にある公園なのね。
著者さんがこのあたりの出身なのかしら。

【収録作】
雨上がりに傘をさすように(港の見える丘公園) / 体温計は嘘をつかない(あけぼの子どもの森公園) / メタセコイアを探してください(石神井公園) / 雪には雪のなりたい白さがある(航空記念公園)

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2015/01/10

海堂尊/ケルベロスの肖像

ケルベロスの肖像

【注意!】
以下、思いっきりネタバレです!


バチスタシリーズ最終話。

つまらなくはなかったけど、シリーズ最終話的なカタルシスはなかった。
起こってることの割りに反応が淡々とし過ぎてる感じ。
脅迫状が届いてるのに、暢気に公開シンポジウムなんて企画してるとかあり得ないと思うけど。
そもそも、脅迫状が届いたことを相談する先が警察じゃなくて厚労省ってのがよく判らない。
更にその厚労省がまた病院(ってか田口に)にそれを戻す。
じゃあ、田口が何か対策取るのかと思ったら、民間の、しかも警備専門でもない人に依頼して結局断られてそのまんまってどういうことなの?
最後に彦根が最悪の事態は防いでくれたからいいようなものの、何か起こるかもしれないことを隠したまま何の対策もせずに大勢の一般人を入れておいて、被害者でも出たらどうしたんだよ、って話だよね。

しかもその大勢の一般客の前で警察も犯人を擁護するような行動を取るとか。
更に出来たばかりの施設が爆発して焼け落ちるとか。
そんな大事件があったら、いくら警察が事実を隠蔽しようとしたって「人の口に戸は立てられない」んじゃないの?

なんかもう、話の内容がアバウトすぎてなんだかなーって感じだったな。

最終話にしては白鳥の影が薄すぎるのも気になった。
(いきなり天馬がキーパーソンになってるし!)
そして何よりシリーズ全部読んで、覚えてないとよくわからない展開がね。
シリーズとはそういうものなのかもしれないけどさ。

最後、明るい雰囲気で終わったのは良かったけど、あの状況で明るくいられることになんか違和感が残るな。
病院には物語に絡まないたくさんの人がいるだろうに…。

他にも謎が残りまくっているので(小百合が死んだのかどうかも不明とか)、多分続きが出るような気がする!

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2015/01/08

今野敏/捜査組曲 東京湾臨海署安積班

捜査組曲 東京湾臨海署安積班

安積班シリーズ最新刊の短篇集。

内容もよかったけど主人公の周囲の人物が一人ずつ主役になって物語を引っ張るという、偶然にも昨日読んだ「隠蔽捜査5.5」と似た構成で図らずも2つの作品の違いがクッキリとわかってそういう点も興味深かった。

ドライで合理的な竜崎に対して(ウェットというのとはちょっと違うけど)情に篤い安積。
それぞれの特性が活かされた作品ばかりで面白かった。
昨日の作品もそうだったけど、主人公だけでなく主要な登場人物の人物像がこれでもか!というくらい丁寧に設定されているのが凄い。
こうした緻密な設定があるからこそ、それぞれの人物の言動に奥行きや説得力が出るんだろうな。

ただ、いくつも短編が重なっているせいか似たような展開の話が複数あったのが残念だった。
また、主人公の有能さを強調するために、周囲の人をことさらぼんやりに書くような記述がときどきあるのが気になった。
「普通、それ気づくよね?」ってことを見逃したりしてるのはちょっとやり過ぎだと思うけどな。
そして相変わらず速水は一番美味しいとこもってくなという印象(笑)

収録されたそれぞれの物語のタイトルも「カデンツァ」「ラプソディー」「オブリガート」など音楽用語で統一されてるのも、音楽に造詣が深い今野さんらしい。

【収録作品】
カデンツァ / アプソディー / オブリガード / セレナーデ / コーダ / リダルダンド / ダ・カーポ / シンフォニー / ディスコード / アンサンブル

いつか竜崎と安積が一緒に出てくる話が読みたい。あと速水も。
ついでにトカゲも投入しよう!(笑)

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2015/01/07

今野敏/自覚 隠蔽捜査5.5

自覚: 隠蔽捜査5.5

シリーズ外伝。

貝沼副署長や関本刑事課長、野間崎管理官などお馴染みの顔ぶれが大森署に運び込んでくる「困った」をいつものように竜崎がサクサクと解決する短篇集。
前回の外伝(「3.3」)は伊丹が主役で彼が持ち込んでくるトラブルを竜崎が解決するという構成だったので今回もそうかと思いきや、更に入り口が増えていて笑ってしまった。
竜崎署長、手際良すぎで安楽椅子探偵みたいになってます(笑)

全体的に読みやすく面白かった。
特に最初の3作がよかったな。

ただ、どれも終点のパターンが同じなので後半ちょっと飽きた部分はあった。
あと検挙率アップの話(「検挙」)の設定はいくらなんでも無理があるでしょ。

多くの登場人物が右往左往する中、竜崎とともにブレない戸高が印象的。

【収録作品】
漏洩 / 訓練 / 人事 / 自覚 / 実地 / 検挙 / 送検

【各話の主人公】
漏洩…大森署 貝沼副所長 / 訓練…本庁 警備企画係 畠山美奈子 / 人事…第二方面本部 野間崎管理官 / 自覚…大森署 関本刑事課長 / 実地…大森署 久米地域課長 / 検挙…大森署 小松強行犯係長 / 送検…本庁 伊丹刑事部長

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