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2015/01/14

あさのあつこ/かわうそ お江戸恋語り。

かわうそ お江戸恋語り。

自分を心から大切にしてくれる家族と奉公人に囲まれながら何不自由なく生きてきたお八重が17歳で初めて知った恋の物語。

素性も自分への気持ちもわからないけれど忘れられない相手をただひたすらに思うお八重の心の動きが丁寧に描かれていた。
「恋しい人に会いたい」という気持ちのまま突っ走っていく部分もあるけど、それだけでなく家族やお店、そばにいる人たちのことを思い踏みとどまったり、他の男との縁談に乗ってみたり、でもやっぱり忘れられない、信じ続ける…というお八重の心の揺れの描写がすごくよかった。

ただ、そんなお八重の単純な恋物語ではないというところが、この作品のいいところでもあり、悪いところでもあるような気がするな。
全体の流れとしては悪くないけど、話がちょっと大きくなりすぎのような。
しかも最後の犯人像…。
確かに引き算していくとそうなるわけだけどなんとなく後味が悪かった。

あと、途中までお八重との対比で描かれていた、お八重付きの女中・おちかの存在が後半はお八重の後ろに隠れてしまったのも残念。
もっと前面に出して、おちかの目から見たお八重と「かわうそ」の物語も読みたかったな。
事件を追う仙五朗親分が渋くてよかった。

ところで、タイトル(副題)「お江戸恋語。」の「。」には何の意味があるの?

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投稿: | 2015/01/20 18:52

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