カテゴリー「読了本」の406件の記事

2009/12/14

吉田秋生/海街diary1、2

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
海街diary 2 (フラワーコミックス)
海街diary 2 (フラワーコミックス)

珍しくマンガの感想です。
最近はあまりマンガを読まなくなったので本屋のマンガ売り場にも滅多に行かないのですが、今日はなんとなく「何か面白いのがあったら読みたいな」という気分になってプラーッと平台を見て歩いていたらこの本を発見。
「きれいな表紙だな~」と思ってよく見たら吉田秋生さんの作品だったので思わず購入してしまいました。

鎌倉を舞台に、幼い頃両親に捨てられ祖母に育てられた三姉妹(幸・佳乃・千佳)と、父親の死によって彼女たちと暮らす事になった14歳の異母妹(すず)の生活を描いたシリーズものです。

『BANANA FISH』以後、『夜叉』、『イブの祈り』とかなり重いテーマを扱った作品が続きストーリーも人間関係も複雑で内容を理解するのも一苦労…という感じになってしまい『イブの祈り』は途中で挫折。
この作品で何年ぶりかで再会したのですが『夜叉』や『イブ~』と全く方向性が違う、というか『夢見る頃を過ぎても』や『河よりも長くゆるやかに』の頃に戻ったような作品でした。
穏やかで、じんわりと温かさが広がるような雰囲気の作品ですごくリラックスして楽しく読めました。
悩んだり、悲しんだり、怒ったり、迷ったり…という感情や、友達や恋人、家族など人と人との関係が、穏やかな筆致で丁寧に描かれています。

それぞれ個性的な三姉妹と、その暮らしに突然現れる母親の違う妹。
普通だったら、いがみ合いとか反発とかという方向に動きそうな関係なのに、同じ傷を持つもの同士お互いがお互いを思いやる気持ちが嫌味なく描かれていてとても爽やかな作品でした。
また、彼女たちを取り巻く登場人物ひとりひとりがきちんと役割を持ってしっかりと描かれているのも読み応えがありました。

鎌倉の名所旧跡もたくさん出てくるので「鎌倉ガイド」にもなっています。

『月刊flowers』に年に2~3回掲載されたものをまとめてあるようなので、コミックスは1年半に1冊くらいなのかな?
これからも長く続いて欲しい作品です。

ところで次女の佳乃の恋人として『ラヴァーズ・キス』に出てきた朋章が出てくるのですが、これは『ラヴァーズ~』より前の設定なのかな?
佳乃と別れてから里伽子と付き合ったの?
それにしては、この作品の朋章のほうが吹っ切れた感が強いんですが。
『ラヴァーズ~』の朋章もかなり好きなキャラでしたが、こっちの朋章のほうが高校生らしくて可愛らしいですね♪

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2009/11/28

岡井崇/ノーフォールト(上・下)

ノーフォールト(上)
(ハヤカワ文庫JA)

ノーフォールト(上)(ハヤカワ文庫JA)
ノーフォールト(下)
(ハヤカワ文庫JA)

ノーフォールト(下)(ハヤカワ文庫JA)

内容(「BOOK」データベースより)
城南大学病院に勤める女性産科医・柊奈智は、深夜の当直で容態が急変した妊婦に緊急帝王切開手術を行なう。ギリギリの判断が幸いし、子供は無事に生を受けた。だが喜びもつかの間、数日後に原因不明の出血が母親を襲う。医師たちの懸命の治療の甲斐もなく、出血の原因がわからないまま、母親は死亡してしまった。患者を救えなかったことでショックを受ける奈智。だが、それは、さらなる試練の始まりに過ぎなかった…。

現在日本テレビで放映中のドラマ『ギネ 産婦人科の女たち』の原作です。
ドラマの評判は今ひとつのようですが、原作の小説は評価が高かったので読んでみました。

緊急手術、その後の治療、母親の死、遺族による訴訟、その法廷での尋問に耐えられず病院を辞めることを考える主人公、そして…という流れがシンプルに判りやすく書かれているので読みやすかったし、それでいて臨場感もあり面白かったです。

ドラマは2~3回、それもチラッとしか見ていないのですが、人間関係や設定、エピソードがかなり追加・変更されて複雑になっていて、小説を読んで感じたストレートな主張がぼやけてしまっているように思えました。
何より、主役の奈智のキャラクター設定が小説とドラマではほぼ180度違うのです!
私はドラマを先に見ていて「仕事は出来るが独善的で周りから浮いているキャラクター」の奈智の性格がとても苦手だったので、「こんな人が主役だったら小説も面白く読めないかも…」と思ってしばし読むのを躊躇していたくらいなのですが実際に読み始めたら「優秀で研究熱心、何より患者の心に沿った治療により患者はもちろん上司や同僚にも信頼されている若手医師」が出てきたのでかなりビックリしました。
いくら脚色するとは言っても主役の性格をここまで変えてしまう意図というのは何なのでしょうか。
確かにTVドラマにはちょっと印象的なキャラクターの方がいいのかもしれませんが、それにしてもちょっと変えすぎそして怖すぎです…。

著者である岡井氏は現役の産婦人科医であるとのこと。
作中にはメインストーリーに絡んで医療の現状やそれに対する改革案など著者の主張も表現されています。
この部分が小説の一部としてはちょっと唐突で、かつ冗長な感じがしないでもないのですが、書いてある内容自体は非常に興味深く、現在の医療制度を理解し、今後どうあるべきかを考えるいい材料だと思えました。

ドラマを見て原作を敬遠してしまう人がいるかもしれませんが、この作品に関しては設定とメインストーリーの流れだけを参考にしているという程度でドラマと小説は別物と考えたほうがいいような気がします。
ドラマが苦手でも小説は面白く読めることもあると思いますので医療問題に興味があったら読んでみて下さい。

「ギネ 産婦人科の女たち」公式サイト

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2009/11/18

岳真也/土方歳三 修羅となりて北へ

土方歳三修羅となりて北へ
土方歳三修羅となりて北へ

内容(「MARC」データベースより)
負けても、負けても、生ある限り戦う! 鳥羽・伏見から江戸、甲州、下総流山、宇都宮、会津、そして箱館・五稜郭へ-。戦い、戦いぬいて「義」に殉じた土方歳三の壮絶な生きざまを描く長編時代小説。

図書館で本を探しているときに見つけた一冊。
鳥羽伏見の戦いでの敗戦以降、生きる(あるいは死ぬ)場所を探して北へ転戦していく新選組を土方を中心に描いた作品です。

タイトルに土方の名前が入っていたら借りないわけにはいかないでしょう、ということで借りたのはいいのですがなかなか読めなくて結局読み終わるまでに1カ月近く掛かってしまいました。
新選組を扱った作品の中で何度も読んだことがある時期の話で切り口としても特に新味があまりなかったし、文章も丁寧なのですがその分盛り上がりが今ひとつ。
また、土方の人物設定も主役のわりにちょっと弱かったかな~、という印象でした。
まあ、これは、私自身が新選組関連本を何冊も読んでいるので、つい他と比べてしまうからなのですが。

回想として描かれる鳥羽伏見以前のエピソードの挿入方法や、転戦の途中足の指を負傷した土方が会津で(思い通りにならない身体にイライラしながら)療養していたあたりの記述は興味深かったです。

それにしても、会津藩主・容保公はやっぱり素敵ですね。
この作品にはちょっとしか登場しないのですが、容保公が土方に掛けた一言に暖かい人間性が感じられました。
彼を主役にした小説が読んでみたくなりました。
今度探してみよう。

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2009/11/03

三浦しをん/風が強く吹いている

風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)
風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)

内容(「BOOK」データベースより)
箱根の山は蜃気楼ではない。襷をつないで上っていける、俺たちなら。才能に恵まれ、走ることを愛しながら走ることから見放されかけていた清瀬灰二と蔵原走。奇跡のような出会いから、二人は無謀にも陸上とかけ離れていた者と箱根駅伝に挑む。たった十人で。それぞれの「頂点」をめざして…。長距離を走る(=生きる)ために必要な真の「強さ」を謳いあげた書下ろし1200枚!超ストレートな青春小説。最強の直木賞受賞第一作。

すごく面白かったです。

文章もストーリー展開もキレとスピード感があって、ぐいぐい先へ先へと引っ張られます。
竹青荘のメンバー10人もそれぞれ個性的で、しかもその個性がきちんと描き分けられしっくりとその人物たちに寄り添っているのでそれぞれに感情移入が出来ました。
昨日の朝読み始めて通勤途中やお昼休みにちょっとずつ読んでいたのですがあまりに面白くて続きが気になって仕方ない。
その後、帰宅してから読み始めたら止まらなくなって今日は休みということもあって午前3時まで掛けて読了しました。

私は運動は苦手だし嫌いです。
特に足がすごく遅いので、小さい頃から走ることでいい思い出は一つもなくて体育の授業も運動会も大っ嫌いな子供でした。
なので、大人になって一番よかったのは「無理矢理走らされることがなくなった」ことです(笑))
そんなふうにスポーツとは無縁の生活を送ってしまったため自分がやることはもちろん人がやっているスポーツにもあまり感心はないのですが、お正月に放送している箱根駅伝は何故か毎年(といってもここ数年のことですが)けっこう楽しみに見ています。
(他に面白いTV番組がないというのもありますが(笑))
優秀なメンバーを揃えたチームが圧倒的な強さで勝つという方程式があまり当てはまらず、それぞれのコースを走るメンバーがどんどん代わっていくことで展開が一気に変化する可能性があることや、団体競技と個人競技の2つの特徴を1つの競技の中に合わせ持っているその微妙なバランスを面白く感じます。
また、試合中に生まれる悲喜こもごものドラマもこの競技の魅力。
工程が長く、ランナーが多い分いろんなことが起こりがちですよね。
なので試合終了後に放送される舞台裏ドキュメントなんかも見ちゃったりします(TV局の思うつぼですね(笑))

でも、そう思いつつも自分自身が楽しさを知らないので、心のどこかには「なんだって正月早々こんな寒いところを必死で走ってるんだ、この若者たちは」という根本的な謎があったりするんですよね。
(これはマラソンとか見てても同じ感想を持つのですが)

そんな私にとって、これは「走ることの快感」をちょっとだけ疑似体験させてくれるような作品でした。
特に10人のメンバーがそれぞれの想いを抱きながら与えられた自分のコースを疾走するシーンにたくさんのページを割いてあったのがとても良かったです。 彼らが感じた風の感触の何万分の1かを頭の中でほんの一瞬イメージできたような気がします。

10人のメンバーがみんなムチャクチャいいヤツばっかりだとか、10人のうち7人は陸上経験がないし予選会の半年前から本格的に練習を始めたばっかりなのにこの結果、とか「それはちょっとあり得ないでしょう」ということもけっこうあるのですが、それはそれで「お話」としてアリだ、と思えました。
逆に「こうなるからこそ「小説」なのだ」という気がしますね。

良質な青春小説だと思います。お薦めです。

ちょうど映画化作品が公開中なのでこちらも見てみようかなという気になりました。
ただ、この小説の文体自体が非常に映像的で、読みながらずっと走(カケル)や灰二(ハイジ)たちが走ったり笑ったりケンカしたりする様子を思い描きながら読んでいたので、実際の映像とギャップがあるとガッカリするかも、という心配もあるのですが。

映画「風が強く吹いている」公式サイト

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2009/11/01

'09年11月の読了本

  • 三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮文庫)
  • 大崎梢『片耳うさぎ』(光文社文庫)
  • 岡井崇『ノーフォールト(上)』(ハヤカワ文庫)
  • 岡井崇『ノーフォールト(下)』(ハヤカワ文庫)

※感想を書いた本には該当ページへのリンクが張ってあります。

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2009/10/12

赤川次郎/霧の夜の戦慄 百年の迷宮

霧の夜の戦慄 百年の迷宮 (角川文庫)
霧の夜の戦慄  百年の迷宮 (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
16歳の少女・綾は、父親を不慮の事故で亡くし、スイスの寄宿学校に留学することになった。寄宿舎での1日目、不思議な睡魔に襲われた綾は意識を失う。そして気がつくと、なんと1888年のロンドンで「アン」という名で暮らしていたのだ!街は、殺人鬼(切り裂きジャック)の影に怯えていた。以前からこの事件に興味をもっていた綾は、自分の手で捕まえると意気込むのだが―。時空を超えて繰り広げられるミステリー。

赤川氏の作品を買うのは(多分)初めてです。
(読んだことは何度かあるかも。『ふたり』とか)
買わないことに特に理由があったわけではなく、あまりにもたくさん売っていると却って買う気がしなくなるという天の邪鬼な性格のせいです(笑)
今回は新刊文庫の棚に平積みになっていて、しかもいつもの赤川氏の作品らしからぬ暗いイメージの表紙だったので手にとってパラパラ読んでみて「面白そうかな」と思ったので購入しました。
(文庫版の表紙イラストは、以前読んだ有栖川有栖の『白い兎が逃げる』のカバーを描いたのと同じ牛尾篤さんです。)

両親を失ったあとスイスの寄宿学校に留学した16歳の少女・綾が、現代と1888年のロンドンを行き来して「切り裂きジャック」の正体を突きとめる、というお話。

冒頭からすごくスピーディな展開で、いろんな要素が次々出てくるので飽きることはありません。
文章も非常に判りやすいので、内容がかなり込み入っているのにすんなり読めるし。
しかも、この綾(=アン)が16歳の女の子(しかも社長令嬢)とは思えないほど肝が据わっていて、自分からどんどん危険な場所に足を踏み入れていくのでハラハラする場面がたくさんあったのも楽しかったです。
逆に「あまりにも順応性が高すぎじゃないですか?」と心配になるくらいでした^^;
普通のタイムスリップものみたいに本人として時間移動するわけではなく、また時代によって別の人格になるのにそれぞれの時代の記憶をお互いに保持したままになっているというのも結構斬新な設定でした。

ただ、いろんな要素をたくさん詰め込みすぎたため、物語の中で消化し切れていないエピソードもあったような気がします。
例えば、アンドリューの死んだ兄・ケンのこととか、綾が死んだ父の跡を継いで会社の社長になる話とか、母親が失踪した原因とか…「え、この話はこれで終わり?」って話がけっこうたくさんありました。
特に綾の両親の話はあれでホントによかったの?という終わり方。
「それじゃあ、あまりにも勝手すぎませんか?」と私なんかは思ってしまったのですが、当の綾はニッコリ笑ってエンディング。
「あれで納得できるなんて、なんて大人なんでしょう」…と思ったのでした。

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大倉崇裕/福家警部補の再訪

福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)
福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)

内容(「BOOK」データベースより)
鑑識不在の状況下、警備会社社長と真っ向勝負(「マックス号事件」)、売れっ子脚本家の自作自演を阻む決め手は(「失われた灯」)、斜陽の漫才コンビ解消、片翼飛行計画に待ったをかける(「相棒」)、フィギュアに絡む虚虚実実の駆け引き(「プロジェクトブルー」)…好評『福家警部補の挨拶』に続く、倒叙形式の本格ミステリ第二集。

以前読んだ『福家警部補の挨拶』に続く、シリーズ第2弾。
「マックス号事件」「失われた灯」「相棒」「プロジェクトブルー」の4編を収録。

背が低く、地味で童顔、年齢不詳。およそ警察関係者それも殺人事件の現場の責任者には見えない外見の福家が、相変わらず飄々と難事件を解決していきます。
現場で見つけた小さな欠片から、その向こうにあるものを見透かてその姿を捉え、そうしたものを積み上げることによって犯人が隠そうとした真実を確実に辿り着く福家の手腕が小気味いいです。
あまりにも真っ直ぐにそこに向かっていくので少し「出来すぎ?」と思えてしまう部分もなきにしもあらずなのですが、それ以上にストーリーの持つスピード感と「次は何をするんだろう、言い出すんだろう」という期待感が優っていて最初から最後まで一気に読めました。

また、今回は事件の関係者(証言者)たちから事件とは関係のないところで(しかも福家本人はそうと意識しないうちに)、一目置かれる存在になってしまっているという描写がさりげなく入っているところが「巧いな~」と思いました。

次が楽しみなシリーズです。

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2009/10/01

'09年10月の読了本

  • 赤川次郎『霧の夜の戦慄 百年の迷宮』(角川文庫)
  • 門井慶喜『おさがしの本は』(光文社)
  • 山本一力『牡丹酒 深川黄表紙掛取り帖【二】』(講談社文庫)
  • 近藤史恵『寒椿ゆれる【猿若町捕物帳】』(光文社)
  • 赤川次郎『怪異名所巡り 神隠し三人娘』(集英社)
  • 伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫)
  • 岳真也『土方歳三 修羅となりて北へ』(学習研究社)

※感想を書いた本には該当ページへのリンクが張ってあります。

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2009/09/13

海堂尊/ひかりの剣

ひかりの剣
ひかりの剣

内容紹介
『チームバチスタの栄光』の舞台でおなじみの東城大と帝華大。『ジェネラル・ルージュの凱旋』の天才外科医・速水晃一は「東城大の虎」とよばれた剣道部主将だった。かたや、「帝華大の伏龍」とよばれた清川。二人のあいだには、医鷲旗(東日本医科学生体育大会の剣道部の優勝旗)をめぐる伝説の闘いがあった。

「バチスタ」シリーズの外伝、という感じの作品。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』に登場した速水と、『ジーン・ワルツ』(こちらは未読)の清川がまだ大学生だったころの物語。
大学医学部の学生だけで開催される剣道大会で医鷲旗(いしゅうき。大会の優勝旗)を争う各大学の剣道部員たちの姿を、お互いにライバルと認め合う速水と清川を中心に描いた「スポ根」小説です。

登場人物がシリーズのメンバーとかぶるのと、途中にちょっとだけ『ブラック・ペアン1988』で出てきた、速水、島津、田口3人の病院研修のシーンが出てくるので「バチスタ」シリーズなんだなあと感じる程度で、あとはひたすら剣道の話です。
相変わらず(剣道の)専門用語とかバンバン出てきてストイックに話は進んでしまうのですが、登場人物の書き分けも巧いし、ストーリーに勢いがあるので全編飽きずに読めました。
特に最後の医鷲旗を巡る速水vs清川の試合のシーンは迫力があって読み応え満点でした。

ただ、天才的な剣道の腕を持つ帝華大剣道部の新入部員「朝比奈ひかり」の存在はちょっと微妙な感じ。
清川の剣を、そしてその後(間接的とはいえ)速水の剣も変えていくという、物語の中で重要な役割を担っているのは確かなんだけど、それでも結局これは「速水と清川の物語」にしか読めなかったので。
タイトルにまで彼女の名前を使う必要があったのかなあ、と。
(しかも、あまりいいタイトルとも思えないし^^;)

高階院長は、剣道部の顧問(しかも最初は帝華大の、そしてその後東城大の)として登場して、速水と清川、そして2つの大学の剣道部員をいいように「弄んで」います(笑)
こんなに若い頃から「たぬきオヤジ」だったのね~。
「バチスタ」あたりよりも登場シーンが多い分、タヌキっぷりが堪能出来ると思います。

この剣道部での経験が速水を「ジェネラル」にしたのね、と納得できる作品でした。
清川の出てる『ジーン・ワルツ』も読むのが楽しみです♪(現在、図書館の順番待ち中)

ジェネラル・ルージュの凱旋
ジェネラル・ルージュの凱旋
ジーン・ワルツ
ジーン・ワルツ
ブラックペアン1988
ブラックペアン1988
 

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2009/09/01

'09年9月の読了本

  • アラン・ベネット『やんごとなき読者』(白水社)
  • 海堂尊『ひかりの剣』(文藝春秋社)
  • 北村薫『街の灯』(文春文庫)
  • 北村薫『玻璃の天』(文春文庫)
  • 石田衣良『Gボーイズ冬戦争』(文春文庫)
  • 山本弘『アイの物語』(角川文庫)
  • 大倉崇裕『福家警部補の再訪』(東京創元社)

※感想を書いた本には該当ページへのリンクが張ってあります。

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